「秋山氏が西武ライオンズに入団した当時、西武は堤義明オーナーの絶頂期でした。広岡達朗監督の意向に沿って若手の有望選手は日本では育てず、MLB傘下の3Aや1Aに野球留学させて育てていた。日本のペナント戦は田淵、山崎、片平、太田らの熟練打者、東尾、江夏、松沼兄弟といったベテラン投手を使って好成績を収める一方で、次期主力部隊は米国で英才教育していたのです。秋山氏はその象徴的な若手で、通算3シーズンくらい日米野球を行き来し、実力を磨くとともに語学力と人脈を築いていた。そのキャリアを今度は米球団で発揮してもらおうというのが孫オーナーの考えなのです。松井氏やジーターも経営参画する以上、秋山氏が現場を指揮するかどうかはわかりませんが、孫氏の代理人的立場で送り込むのではないか。そういった青写真を描いていたからこそ、秋山氏を現場から引き揚げさせたのです」(スポーツ紙デスク)
それは監督の人選にも当てはまる。秋山氏の後任は西武ライオンズ黄金期のチームメートで1年後輩、海外留学も同様に経験している工藤公康氏。両者には共通した米球界の関係者も多く、連携するには実はもってこいの関係だ。
また、メッツからFAとなり、日本球界復帰を決めた松坂大輔が年俸4億円の4年契約で移籍が確実になったのも、ソフトバンクなら「メジャーに再挑戦できる」と踏んだからだろう。
一方、巨人の次期監督が約束されている松井氏にも動きがある。今回の日米野球の解説と巨神OB戦などで来日した松井氏は、巨人から来春のキャンプの臨時コーチを依頼されたものの、断ったという。孫氏とのレイズ共同購入の渦中にあることから、巨人と一線を画しているとみられる。
巨人の白石興二郎オーナーも11月21日に行われたプロ野球オーナー会議後、「原監督の契約はもう1年あるわけで、来年中にいろんなことを考えなきゃいけない。松井君もポスト原の有力候補」と話したものの、「原監督の続投もあるかもしれない…」と言葉を濁すなど、微妙に軌道修正してきている。高橋由伸外野手を急ぎ兼任打撃コーチにしたのも、松井氏のなかなか見えない腹の内と無縁ではないのだろう。
阪神の鳥谷敬、オリックスの糸井嘉男などがメジャー転身に意欲的なのも、松井氏とジーター氏とともに孫氏がレイズ購入に動いているのが、漏れ伝わっているからである。