『ワイドスクランブル』は1996年に水前寺清子と元NHKアナウンサーの中村克洋が司会を務める形でスタート。98年からは大和田獏とテレビ朝日アナウンサーの大下容子が11年間出演した。その後大和田から寺崎貴司アナに交代し、2014年からは元高知県知事でNHKアナウンサーの橋本がMCに就任。ソフトな語り口と高い信頼性で、安定した人気を誇っていた。橋本の降板の理由は諸説あるが、71歳と高齢になったことなどが原因だと思われる。
橋本の後任として白羽の矢が立ったのが、インターネットTV局「AbemaTV」の『AbemaPrime』でキャスターを務め、政権批判を繰り返すテレビ朝日とは正反対の意見を述べてきた小松靖アナだ。
小松アナはある日の番組内で森友学園文書問題について「政治の関与はなかった」と発言したほか、政権批判を繰り返す青木理氏や室井佑月に対し「そこまで安倍内閣は史上最悪の政権だというなら、対案がないと説得力が伴わないですよ」とバッサリ切り捨てるなど、硬派なアナウンサーとして知られる。
テレビ朝日の女性社員が、財務省の福田淳一事務次官からセクハラされた問題では、自局の看板番組『報道ステーション』でコメンテーターの後藤謙次氏が「(テレビ朝日の対応は)ギリギリセーフ」と擁護したことに触れた。
「はっきり言って、テレビ朝日の報道の信頼は地に落ちたと言っても過言ではない。あえて言いますけど、それくらいのことをしてしまったと思います」
「社員が仕事する中で感じる身体・心理的なダメージに対して会社が何ら守ってくれない」
「女性記者からすると福田事務次官もテレビ朝日も『自分を被害者にした相手なんだ』という構造が成り立ってしまう。一から出直さないといけないと思いました」
小松アナはこのように、テレビ朝日の対応を痛烈批判。社員でありながら、猛然と上層部を批判する姿勢に称賛の声が上がっていた。ただし同局の地上波レギュラーからは外された状態となっており、「その思想が危険と判断されているのではないか」「忖度しないため干されている」などと噂されていた。
そんな小松アナの『ワイドスクランブル』MC就任に、一部ネットユーザーからは「期待できる」「圧力に負けず頑張ってほしい」「『ひるおび!』を倒してほしい」「おめでとう」など、期待の声が上がった。
一方で「『AbemaPrime』のような姿勢を貫かなければ意味がない」「思想を変えるようなら見ない」など厳しい声もあった。
『報道ステーション』の富川悠太アナとは真逆の道と思想を持ち、不遇の時代を乗り越えてMCの座をつかんだ小松靖アナ。『AbemaPrime』のようなテイストを『ワイドスクランブル』に持ち込むことができるのか注目だ。