A:骨盤の仙腸関節の部分に使い捨てカイロを貼ったり、当てたりすると全身が温かくなります。
また、顔面麻痺の後遺症で顔の一部にしびれや違和感がある場合、仙腸関節を温めるとしびれなどの症状が和らぎます。
これらの効果は、骨盤の調整(べルビックセラピー)を行っている側とすれば当たり前です。
●仙腸関節は重要スポット
仙腸関節は、体の中でもっとも重要だといえるスポットです。
骨盤は、腰椎(腰の部分の背骨)の付け根にある仙骨と、その左右に蝶が羽を広げたような寛骨(腸骨・坐骨・恥骨でなる)、さらに仙骨の下にある5個の骨によって構成されている骨の集合体です。
仙骨と腸骨は連結し仙腸関節を形成しています。人間の体重の約60%を占める上半身の重みを直接受け、仙骨と腸骨の間でわずかに滑る・回転するといった動きをして、それぞれの骨のバランスをとっています。
仙腸関節がうまく働かなくなると、仙骨は腸骨に対してズレを起こし、骨盤がゆがみます。その影響は背骨全体に及び、全身の歪みを招きます。
骨盤の中には、血管や神経をはじめ、腸、膀胱、そして女性の場合は子宮、卵巣などの大切な臓器も収まっています。つまり、骨盤は内臓を収納し、支えるという重要な役目を担っているのです。
●仙腸関節をゆがませる同じ姿勢の連続
なんらかの原因で骨盤がゆがむと、全身にさまざまな悪影響が現れます。
ご質問の方は、腰痛と冷え性があるとのこと。職業柄、同じ姿勢をとり続けるため、仙腸関節をゆがませ、腰痛を発症する原因になります。骨盤にゆがみがあると全身の血行が悪くなるので、冷え性ももたらします。
仙腸関節を温めると全身の血液循環が促進されるので、どちらも緩和する効果があると思われます。
ただし、温めるだけでは、根本的な治療にはなりません。仙腸関節のゆがみ、つまり骨盤のゆがみを改善する必要があります。そのための方法として、私のクリニックではべルビックセラピーを行っています。
自分でできる方法としては、生ゴムのバンドをお尻に巻いて、腰を回す運動が役立ちます。生ゴムのバンドはドラッグストアなどで購入できます。ぜひ試してください。
山田 晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。