春は馬が大きく成長する季節。慌てず、じっくり育てられてきたトライアンフマーチも上昇気流をうまくつかまえた。
「使いつつ筋肉がついて、馬体がすごく良くなってきた。心身ともにどっしりした感じになって、カイバ食いも本当に良くなってきた」と清山助手はうなずいた。
父は先週の桜花賞をブエナビスタが勝って、目下、大ブレーク中のスペシャルウィーク。母は1997年の桜花賞馬キョウエイマーチだ。GI馬を大量生産する角居厩舎に入厩したことでも分かる通り、生まれた時から大きな期待を背負っていた素質馬だ。
だが、高素質のお坊ちゃまにありがちな、若さと弱さがデビューを遅らせた。新馬戦は今年の1月。当初は内にモタれるなど、粗削りな面も目立っていた。
しかし、前々走で未勝利を勝つと、前走の若葉Sでポテンシャルの一部を開放してみせた。ベストメンバーの決め脚には屈したが、昇級初戦で好位付けからきっちり2着を確保したあたりがセンスの高さだろう。
「前走は一気の距離延長にも対応してくれたし、皐月賞にメドの立つ内容だった。何より、最後まで集中力が途切れなかったのが収穫だね。中身の濃いレースだった」
特捜班もこの一戦ごとのステップアップに穴気配を感じるのだ。
中間はさらに成長を感じさせている。15日、CWコースで行われた追い切りは3頭併せで力強く伸びた。武幸騎手が「こちらが思っている以上に成長している」というほど、モタれる面も見せず、まっすぐ伸びたあたりに好感が持てる。
「何しろ、期待の良血馬だからね。上位3頭が強いのはよく分かっているけど、チャレンジ精神で思い切って挑みたい」と清山助手は笑みを浮かべた。
なくすものはなにもない。軌道に乗った良血馬の走りに夢を託すのも悪くない。