最初は、そんな松尾のみにスポットライトが当てられていたが、ここへ来て相方の長田庄平もフィーチャー。かねてから細々とマネていた狂言師・和泉元彌に扮して出ることが増え、“IKKOの相乗効果”で、コンビそろってゴールデンタイムに出演する夢をかなえた。
結成から12年にしてようやく、芸人になる前から思い描いていたポジションにたどり着いたチョコプラ。そんな2人は4年前、ビッグチャンスを逃している。6年ぶり2回目となった『キングオブコント2014』で、暫定王者だったにもかかわらず、最後の最後で同期のシソンヌ(長谷川忍&じろう)に追い越され、悔し涙を飲んだのだ。結果、ファイナル初進出のシソンヌが、悲願の初優勝をはたした。
ところがこの舞台裏で、チョコプラは実に人間らしい、イキな計らいをしていた。
じろうは、この日の会場となった東京・赤坂のTBSの控室で本番前、8年前に亡くなった母・幸子さんの写真を机に置き、立てた。写真は事あるごとに持ち運んでおり、大事な本番前には必ず、母に向かって祈りをささげていた。
その日は、全国放送の生放送の決勝戦。写真に向かってひとりごとを口にし、手を合わせたが、控室にはほかの芸人もいてピリピリムード。長谷川が注意したため、写真は伏せて、本番に臨んだ。そして、優勝。控室に戻ってくると、伏せられていたはずの母の写真が立てられており、しかも、テレビモニターのほうを向いていた。
「2人は『こんな奇跡あるんだな』、『優勝させてくれたんだ』と感激したんですが、写真が勝手に起き上がることなんて、当然なく。こっそりモニターに向けていたのは、ほかならぬチョコプラだったんです。デビューから苦楽を共にしていた同期だからこそできた、ホントの優しさでしょう」(テレビ誌の取材記者)
IKKOのものまねで、現場の雰囲気を温め、視聴者を笑顔にしているチョコプラ。彼らの人となりは、ハンパないのだ。
(伊藤雅奈子)