「マンションの裏から2階のベランダによじ登ったが、窓の鍵が全部閉まっていた。だから、そのまま3階ベランダまで登り、鍵が開いていたので部屋に入ったところ、鉢合わせしてしまったのです」
東京・世田谷区野沢に住む阿部祝子さん(88)のバラバラ遺体が発見された事件は、発生から2週間あまり経った7月9日朝、阿部さん宅から600メートルほど離れたマンションに住む池田徳信容疑者(28・無職)が死体遺棄容疑で逮捕され、急展開を見せた。
逮捕当初、池田容疑者は否認していたが、同日夜になり冒頭のように捜査員に供述したのだという。
「池田容疑者は、阿部さん宅に訪れていた長男家族が帰った6月19日午後9時前頃、侵入したと話している。その深夜には、碑文谷公園付近の防犯カメラが黒いリュックを背負った池田容疑者の姿を捉えています。阿部さん宅では、ベランダに池田容疑者のゲソ痕(足跡)、室内には指紋も発見され、浴室からは微量の血液反応と阿部さんの遺体の一部と思われる組織片も見つかっている。そのため殺害後、この浴室で遺体をバラバラにし、さらにリュックに詰め込んで約500メートル離れた弁天池まで運んだと見られています」(捜査関係者)
この捜査関係者によれば、池田容疑者は殺害、遺体切断についても認め、方法や動機についても具体的な供述を始めたという。
「遺体の切断には、持ち込んだナイフと阿部さん宅にあった庖丁が使われたと思われます。動機については『物盗りで(マンションに)入った』と話しており、確かに室内の財布や預金通帳は残されていたが、タンスに保管されていたと思われる現金がなくなっていた。盗犯の常習者らしい犯行とも取れる」(同)
事件が起きた1キロ圏内一帯は閑静な住宅街。その中にあって池田容疑者は、築40年の4階建てマンションの1階で、60代の母親と2人暮らしだった。
「2人はあの部屋に、もう10年以上住んでいるのでは。近所付き合いというのはまったくありません。時折、男の人がジャージ姿でコンビニの方向へ行くところを見るぐらいでしたよ」(マンション住人)
しかし、動機が物盗りにしては、遺体をバラバラにするというのはあまりに異常だ。