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第100回全国高校野球大会 歴史に名を刻む優勝校はここだ!

 100回目の記念大会は、球児たちが試される夏になりそうだ。それは絶対的王者と挑戦者。「勝って当たり前」と言われる強豪校はその重圧と戦い、挑戦者は主導権を握るため、知恵も使っていかなければならない。
 高校野球に関する著書を多く持つスポーツジャーナリスト・手束仁氏が語る。
 「記念大会なので、史上最多56校が頂点を争います。センバツ優勝校の大阪桐蔭が北大阪予選・準決勝で9回二死から逆転勝ちしました。こういう窮地から這い上がった学校は強くなります。また、明徳義塾の9年連続出場を阻止した高知商も意地を見せた。100回大会に創部100年の伝統校が出てくるのも、何かの運命かなと思いました」

 大阪桐蔭の根尾昂は「投手・遊撃手・外野」の三刀流。一発のある藤原恭大、左腕・横川凱、好右腕・柿木蓮、1年秋に4番も務めた山田健太…。「ドラフト候補が6人とも7人とも」と伝えられる常勝集団だ。
 「根尾、柿木、横川とドラフト候補の3投手を持つ大阪桐蔭は『大本命』と言われていました。でも、好投手ゆえに代え時が難しい。西谷浩一監督が選手を信頼しすぎると余計な失点を与えてしまうかも」(スポーツライター・飯山満氏)

 炎天下の舞台には、強豪を食う学校や、新スターも降臨してきそうだ。
 「興味深いのは宮城の仙台育英です。監督が交代しましたが、新指揮官の須江航監督は付属中学の軟式野球部を指導し、日本一に導いています。現メンバーの多くがその薫陶を受けており、『サッカーやバスケはボールを長く持ったほうが主導権を握るが、野球は長く守備に着くチームが劣勢になる』など野球の競技性を語り、そのためにどうするかという考え方を練習に取り入れています。『高めを狙え』というのではなく、『胸のラインを狙え』と分かりやすい指示を出します。選手なら、金足農(秋田)の快速右腕・吉田輝星を推します。U-18の候補にも入っており、スピンの利いた直球が一級品。スライダー、カーブもよく、手首の使い方が非常に巧い」(スポーツライター・豊島純彦氏)

 左腕投手では、鳴門(徳島)の2年生・西野知輝、創成館(長崎)の川原陸にブレークの予感が。
 「西野は『自分の間』を持っています。走者を背負ってからが見せどころで、ボールを長く持ったり、クイックを使いタイミングをずらすなど、大人の投球ができる。カーブ系の緩いボールを低めや外角ギリギリに放っています。川原はボールの角度がいい」(飯山氏)
 創成館は投手王国だ。川原以外にもセンバツで好投した酒井駿輔、伊藤大和の両右腕、センバツで智弁和歌山を苦しめた戸田達也もいて、6投手による継投という大きな武器を持つ。

 出場各校が警戒を隠さないのが星稜(石川)だ。2年生ながら貫禄すら漂わせる右腕・奥川恭伸のほか、注目の1年生もいる。
 「内山壮真、知田爽汰の両内野手はレベルが高い。内山は細身ながら体幹が強く、一発もある。この夏、スターになるかも」(豊島氏)

 千葉代表の2校も不気味だ。中央学院のエース兼4番の大谷拓海は故障のため、県大会をほとんど投げていない。だが、2番手以降の投手が好投。「千葉の二刀流」は打者出場し、クローザー登板してくるかもしれない。
 「木更津総合の投打の中核・野尻幸輝は、中学時代、大阪桐蔭の根尾と同じ岐阜選抜チームで活躍しました。当時は野尻が4番。直球に重量感がある。運命的な再会になるかも」(飯山氏)

 北埼玉の花咲徳栄は「伸びしろ」を残しているチーム。県予選では、投打でチームを牽引してきた野村佑希が本調子ではなかった。
 「2選手をプロに送り出した昨季と比べると役者不足の感は拭えませんが、特筆すべきデータもあります。県予選で、チーム全体での三振数は『4』。堅実に走者を進め、1点を取る攻撃でした。野村が甲子園本番までに調子を整えれば、爆発的な強さを見せるかもしれません」(豊島氏)

 浦和学院(南埼玉)の4番・蛭間拓哉は2打席連続本塁打を放つなど、スケールが大きい。故障していた右腕・渡辺勇太朗は、スカウトが計測したスピードガンで149キロを出していた。

 山梨学院の左腕・垣越建伸も「悔しさ」を爆発させそうだ。中学時代は天才・根尾とチームメイト。記者団に根尾のことを質問され、「彼は雲の上の人」と返していたが、同校初の県大会3連覇の原動力となり、自信をつけたのだろう。「勝ちたい相手」と言い切った。
 「投球フォームが小さく、ゆったりとした投げ方が特徴です。体がガッチリしていて、将来性を感じます」(豊島氏)

 手束氏は地方大会を見た後、こうも語っていた。
 「予選で消えた学校の中には『打ち合いになっても』と、甲子園で勝つことを練習中から意識させていました。センバツ4強の三重が敗れ、同県代表校は過去10年間にわたり初戦ボロ負けを続けた無名校だったり…。いかに流れを掴むかで勝者が入れかわる。何が起こるか分かりません」

 記念大会は、番狂わせの連続になるかもしれない。

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