12月6日、東京・両国国技館で今年の“アマ横綱”を決める全日本相撲選手権が行われ、日大3年でモンゴル出身のバーサンスレン・トゥルボルド(21)が優勝した。大相撲の世界でモンゴル人力士が優勝するのは当たり前になっているが、64回を数える同大会で外国人出身者が優勝するのは初めてのことだ。
「ついにアマの世界までモンゴル人に席巻されたのかと、大会関係者は騒然としていましたよ。それも優勝の呼び声が高かった小柳(東農大)や、国体成人の部で優勝した黒川(アイシン軽金属)といった猛者を破っての文句なしの優勝ですからね。これで幕下15枚目付け出しの資格を得たことになります。ただ、来年は日大相撲部のキャプテンになることが決定しており、大相撲入りする意思はないと話していますが、再来年にプロの土俵に立つのは間違いありません」(担当記者)
このトゥルボルドが注目される理由はもう一つある。平成22年3月、いまや大相撲界で人気者となった照ノ富士や逸ノ城らと一緒の飛行機でモンゴルから来日。ともに高校相撲界の名門・鳥取城北高に留学した仲であることだ。
照ノ富士は高校を中退、逸ノ城は高校卒業後に相次いでプロ入りしていったが、トゥルボルドは同校の石浦監督から、「まだ相撲が甘い」と言われ、日大に進学。しかし、先にプロ入りした2人に決して素質が劣っていなかったことは、入学からわずか3年でアマ横綱になったことでも分かる。
「体も大きく、照ノ富士や逸ノ城らのようにスター力士になる可能性は十分。照ノ富士は、『また大物が出てきたね。高校時代から力はすごかったけど、ちょっと下手くそなところがあった。大学に行って相当がんばったんじゃないの。早くプロに来て』と熱いエールを送っていました。遠藤も伸び悩むなど、日本人力士にこれといった有望株が見当たらないだけに、入門すればたちまち注目力士になることでしょう」(大相撲関係者)
平成18年初場所の栃東(大関)を最後に、日本人力士の幕内優勝が途絶えて来年1月の初場所でちょうど10年になる。この分では、この不名誉な記録もまだまだ続きそうだ。