〈金正恩が30センチ動いただけでもキャッチできる無人偵察機を、米国が韓国に売却する方針を固めた〉
昨年末に韓国の日刊紙がそう報じると、この情報は瞬く間に世界中を駆け巡った。というのも、これが原因で「ついに米国が、北朝鮮征伐に舵を切りだした」との観測が高まりだしたからなのだ。
自衛隊関係者がこう語る。
「韓国が購入するのは、グローバルホークと呼ばれる無人偵察機。イラク戦争で活躍した機体だが、3000キロ離れた野球ボールサイズの物体を判別できるのです。つまり、北のミサイル動向は言うに及ばず、金正恩の食事やトイレ風景まで識別できる。韓国から1000キロ離れた北京も偵察範囲となることから、北朝鮮と中国両国に凄まじい衝撃が走っているのです」
ちなみに、この無人偵察機には思わぬ逸話も存在する。韓国は「北朝鮮寄り」と見られていた盧武鉉政権時代に同機の購入を打診したが、その際に米国側は首をタテに振らなかったという。
ところが、親米派の朴槿恵政権が誕生するや突如、購入を快諾した。そのためこの裏には、米国の強烈なメッセージが込められていると見られているのである。
「要は、北朝鮮が昨年、米西海岸を射程距離とするミサイルを開発したことが発端なのです。かつてブッシュ元大統領は『大量破壊兵器の所有、行使の疑いがある』とイラク戦争を仕掛けたが、米国は北朝鮮とその後ろ盾である中国の増長ぶりに神経を尖らせてきた。こうした経緯があることから、偵察機の売却は今後、北朝鮮を叩く布石と見られているのです」(前出・自衛隊関係者)
ただし、これにさらなる拍車を掛けたのは、ほかでもない日本政府だ。ご存じの通り、誕生間もない安倍政権は、年明け早々にこの無人偵察機の自衛隊導入を検討。さらに、'13年度予算で防衛関係費を約1000億円増しの4兆7000億円超とする方針を打ち出し、対中国、対北朝鮮への先鋭化を図りだしたのである。
曰く、軍事アナリストがこう語る。
「総選挙時から自衛隊を憲法改正で『国防軍』に格上げすることを掲げていた安倍晋三総理は、以前から元防衛相の石破茂幹事長と同機の導入、自衛隊予算の拡充を検討していた。ただ、これが前倒しで検討され始めたのは、北朝鮮のミサイル発射と、尖閣の領海を犯し続ける中国の蛮行に対抗するため。一部では衆院選圧勝後、韓国への同機売却の承諾と同時期に『米国側から導入の打診があった』ともいわれているのです」
ただ、それも無理からぬ話と言うほかはない。尖閣騒動後、中国側は連日、船や戦闘機で我が国の領海、領空を侵犯しまくる有様で、今ではこれが「尖閣奪取の予行演習」(同)とまでいわれている状況なのだ。