克則氏はご存じのように、野村克也元ヤクルト監督の息子であり、克也氏が監督だった'95年のドラフトでヤクルトに3位入団した。克也氏の楽天監督時代には一緒に一軍バッテリーコーチも務め、'10年からは巨人で指導していたのだが、急に古巣に戻ることになったというわけだ。
「ヤクルト最下位の責任をとって辞任を申し出た小川淳司監督が来季も指揮を執ることになったのは、球団が野村氏との連携に舵を切ったからに他ならない。野村監督時代、ミーティングで野村ID野球の講義をする際、決まって名指しで質問をぶつけて知力を試す相手が小川監督でした。野村IDで最も開花した打者が池山隆寛。その池山氏が来季から二軍監督ですから、これは明らかにノムさん受け入れシフトです。まあ、年齢的に監督は辞退して、一心同体である息子の克則氏を送り込んだのでしょう」(スポーツ紙記者)
そんな中日の“原巨人包囲網”が深く、静かに進行している中、似たような流れが球界全体、特に次期コミッショナー人事を巡る問題にも漂っている。
辞意を表明した加藤良三コミッショナーの後任を協議する臨時オーナー会議が10月2日に開かれた。加藤氏が退任する10月25日までに決まらない場合は、オーナー会議議長を務めるオリックスの宮内義彦オーナーがコミッショナーを代行、日本野球機構の会長職(野球規則でオーナーは就任できない)は、元東京地検特捜部部長で弁護士の熊崎勝彦コミッショナー顧問が代行する事が決まった。
次期コミッショナー選定については、パの6球団オーナーは『ビジネスのわかる実務派』を掲げ、元京大野球部選手でコスモ石油名誉会長の岡部敬一郎氏(81)の擁立で一本化している。
一方、セ側は『野球の最終的な裁定人』を掲げたものの、王貞治氏、星野仙一氏にともに辞退され、一本化ができていないのが実情。しかし、既に雌雄は決しているという。
「最終的には“反読売”の中日・白井オーナーがパ側について、過半数を得ることで岡部コミッショナー誕生となる運びです。ただし、岡部氏は高齢なことから、実質的には熊崎顧問が仕切る。そこが中日サイドの狙いです。熊崎氏は統一球問題でも加藤さんに『ノー』を突きつけた法の番人。これまでのように巨人の好き勝手にはさせないでしょう。しかもこの先、原監督の女性スキャンダル裁判の展開次第では、微妙な裁定も出かねない。あまり知られていませんが、熊崎氏は中日新聞エリアの岐阜県下呂市の出身。中日関係者にも知人が多いと聞いています」(パ球団のフロント幹部)
渡邉会長が悔やんでも、中日の包囲網はここまで進んでいる。ここから巨人がどう巻き返すのか、けだし見物である。