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アルジェリア人質事件の悲劇は続く 日本はカモ 世界でこんなにある人質テロ危険地帯(1)

 アルジェリアで『日揮』(本社・横浜市)の社員10人が死亡した事件(1月25日現在)が、日本経済を震撼させている。
 「実はアルジェの事件を機に、今後、邦人を狙ったテロや人質事件が頻発するとの見方が渦巻きだしているのです。ご記憶の方も多いはずだが、'77年に赤軍派がダッカで起こしたハイジャック事件時に、時の福田赳夫総理は『人命は地球より重い』と、約16億円の身代金を支払った。他国と違って今も『人命第一』を遵守する日本人が狙われる可能性が、限りなく高まっているのです」(外信部記者)
 要は、世界中で資源と商機を求めて戦う企業戦士が危険に晒され始めているのだが、その進出地域は枚挙に暇がない状態なのだ。

 たとえば、湾岸戦争で焦土と化したイラクは、いまだにアルカイダ系組織『AQI』がテロを繰り返す危険地域。ところが、ここでは日本の商社がインフラ整備を巡る激しいつばぜり合いを展開しているのである。
 「水道、電力を含むイラクのインフラ事業は11兆円といわれるが、総工費1800億円のナシリアのガス発電所(180万キロワット)建設事業には、三井物産や三菱重工などの5社連合が受注に参入。また昨年には、イラク国内24カ所の変電所を、豊田通商が70億円で落札した。さらに南部のバスラでは、1600億円の円借款製油所の建設が来年着工し、どれだけ現地が危険でも、日本企業は手を引けない状況なのです」(商社関係者)

 ただ、そのあり余る商機とは裏腹に、日本の商社マンたちは危険極まりない状況に晒されているのだ。
 「豊田通商の場合、建設はトルコ企業が請け負っているが、それでも現地入りしないわけにはいかない。その場合、銃で武装した警備員とヨルダン側から入国する。ただ今回のアルジェリア事件の余波で、イラク進出に腰が引け始めた企業もあるほどなのです」(同)

 もっとも、こうした状況はイラクばかりではない。
 40年間続いた軍事政権が終わりを告げ、民主化へ舵を切ったミャンマーも日本企業の進出が著しい。昨年オバマ米大統領が訪問し、138億円の資金援助を申し出てからは「世界経済に大きな影響を及ぼす最後の秘境」と呼ばれ、今や100社前後の日本企業が進出しているのだ。
 「当面のインフラ整備が10兆円規模といわれるミャンマーの人件費は、中国の5分の1で、これが企業進出に拍車を掛けているのです。すでに、上下水道設備の改善には東洋エンジニアリング、火力発電の補修事業には、三井物産などが日本政府とタイアップして受注競争に参戦している。さらに、日本の約1.8倍の国土には豊富なレアアース、原油、天然ガス資源が豊富で、商社やプラント企業が続々と押し寄せているのです」(シンクタンク関係者)

 実際、こうした事業を狙って、清水建設は現地事務所を立ち上げたほど。また、NECや外国銀行初の出張所を開設した三井住友銀行、日本企業のシステム援助をするNTTデータなどが進出しているのである。

 ただ、いい事尽くめに見える同国にも、テロの火種は存在するのだ。
 「それが少数部族との紛争なのです。政府は長らく北部国境地帯の少数民族を軍事力で押さえつけてきたが、今年の年明けに120万人前後いるカチン族の本拠地を空爆。これにカチン族の独立軍が応戦して内戦が起きた。この騒動は国連の批判がもとで停戦となったが、いまだ事態は予断を許さない状況で、今後、独立軍とテロ組織が結びつけば、イラクと同じ状況になると見られているのです」(前出・外信部記者)

 また、前出の商社関係者はこう明かす。
 「民主化に舵を切ったとはいえ、ミャンマーは今も軍事政権で、アウンサンスーチー女史を軟禁してきた国なのです。そのため、突然、外国企業を追い出す可能性もある。また、独裁政権時から多大な援助をしてきた中国が、首都ヤンゴン周辺の工業団地候補地を韓国と共に買い漁っており、インフラ事業の多くを中国が受注するとの噂もある。中国企業の賄賂でたらし込む手口が横行すれば、日本は同国でもチャイナリスクに手を焼くことになるのです」

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