今回話題の中心になっているのは、博報堂DYホールディングスが集めた資金で、女性アイドルの海外進出に投資するケースである。
実際には、博報堂のグループ会社であるサイト運営専門社が手がける。
日本の女性アイドルの海外進出を支援する専用サイトを10月中にも開設する計画だが、こうした『クラウドファンディング』に問題はないのか、という不安の声があるのも事実だ。
このビジネスモデルは、どういう手順をとるのかを具体的に見てみよう。
まずサイト運営社が女性アイドルの海外イベントなどをサイトで紹介し、海外ファンから資金の出資を募る。具体的には「シード」と呼ばれる仮想通貨をクレジットカードやポイントで購入するのだ。額は1件当たり30ドル(3000円弱)からで、出資者(おもに海外)は、額に応じてイベントの関連グッズ等が配布され、当初の目標額に達したら企画を実施するという。
こうしたビジネス展開には、理解に苦しむ点が三つある。
まず最初に、集まった資金がどのように使われたか、という情報開示の点。制作者の飲み食いその他、無駄に使われていないことを証明する必要があろう。
2番目は出資者のメリットが少な過ぎないか、という点である。たとえば、日本の出資者は法的な面から『購入型』リターンに絞られる。そのため、グッズレベルの商品しか貰えないわけだが、もっと入手しづらいオリジナルな商品が望まれるであろう。
3番目は、目標額に達しなければ企画は実施されない事。中止となれば、それまで金を出した出資者には出資額が返還されるのか、という点である。
また、間に入った運営会社は株式会社等の法人であり、集まった資金の中から平均10〜20%の手数料を取るという。
善意の出資者が提供する資金の一部を、運営業者が懐に入れるというビジネスモデルは問題あり、との声は少なくない。
米国発のこのシステム、果たして警戒感の強い日本人の間で根づくのか。