「うるさい。お前には関係ない!」
隆信は聞く耳を持たない。義理の娘に情愛などない。利用価値がなくなれば、話をするのも面倒。さっさと消えていなくなれと、鎮光ともども僻地へと追いやった。
この後、鎮光は隆信に反旗を翻して滅ぼされる。政略結婚とはいえ夫を愛していた秀の前は、深い悲しみの日々。夫の菩提を弔って余生を生きようとするのだが…そのささやかな願いも、隆信によって踏みにじられる。
秀の前はまたしても政略結婚の道具として、上松浦党の当主・波多守鎮に嫁がされてしまうのである。女を死ぬまでとことん利用する。そんな隆信の無慈悲で極悪な気質が見てとれる。