高裁の西田真基裁判長は「タトゥーは医療を目的とする行為ではない」と無罪にした理由を述べている。
「被告人」となったのは「彫り師」の増田太輝氏(30)というスタジオ経営者だ。
「入れ墨というと任侠映画の影響から暴力団との関連など負のイメージが強いが、控訴審判決は『タトゥー施術は反社会的ではなく正当な職業』と言い切りました。温泉旅館などでタトゥーをした外国人らを受け入れる動きも出始めているなど、アートとしての認識が出てきています。今回の判決の背後には、文化の1つとして認知されつつあるタトゥーという存在があるのです」(事件ライター)
ただ、今も彫り師の摘発は目立つ。その根拠となっているのが、2001年の厚生労働省通達だ。この通達は「針先に色素をつけながら皮膚の表面に色素を入れる行為」は医師しかできないと規定している。
「これは、危険が伴う眉や目尻に墨を入れる『アートメイク』を想定したものでしたが、タトゥーやレーザー脱毛の施術にも及び、それが行政に拡大解釈され、警察捜査に利用された面は否めません。厚労省の担当者も今回の判決について『係争中なのでコメントできない』としているようです。とはいえ施術による感染症のリスク問題や、タトゥーを消せないなどと訴えるトラブルも絶えません。彫り師をライセンス制度で管理するなど、正しい情報提供や顧客の安全性を確保する仕組みが必要な時期に来ているのではないでしょうか」(同・ライター)
一方、ゲームバーの方は「逮捕・起訴」だ。6月12、13の両日、京都府警と兵庫県警が、京都市と神戸市のゲームバー4店舗の経営者ら計4人を「著作権法違反」容疑で逮捕した。菓子や酒を食べたり飲んだりしながらゲームをやり放題というのが「ゲームバー」のウリだが、逮捕に至った容疑は何か。
「 摘発された神戸市のゲームバーの場合、テレビに『ニンテンドースイッチ』や『プレイステーション4』などのゲーム機器を接続し、人気シリーズを無断で画面に映していたことが、著作権法の『上映権』侵害にあたると認定されたのです」(地元紙社会部記者)
ただ4店舗は警告を数度受けながら従わなかったという悪質性も指摘されている。
「ゲームバーの存在を把握したのは11年でした。摘発された店舗につきましては『上映権侵害をやめるように警告を出してきた』という経緯があるのです。県警は警告に従わなかった点を悪質と見て、摘発に踏み切ったようです」(コンピュータソフトウェア著作権協会)
では、サッカーW杯ロシア大会でにぎわったスポーツバーやプロ野球バーは著作権法に引っかからないのか。
「著作権法は『放送される著作物を、通常の家庭用受信装置で流す場合』は、上映権侵害に当たらないとする例外規定を設けています。しかし60インチの大型画面が家庭用テレビと言い切れるかどうか、微妙な論点を含んでいるため『グレーゾーン』と言えます」(法曹関係者)。
ただし、スポーツバーは02年の日韓Wがピークだったという。著作権の許諾などにコストがかかり、割に合わず、業界全体の店舗数は減少傾向にある。
いずれにせよ、2つの例ともに「禁止して終わり」では、文化的な存在の否定やスポーツファンの裾野拡大につながらないだろう。