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日テレ・大久保社長も頭を抱える? 人気アニメをめぐる制作者“残酷物語”

 日本テレビ系の人気アニメ『名探偵コナン』をめぐる裁判が波紋を広げている。
 背景画を手がける制作会社『S』の社員3人が同社を相手取り、不払いの残業代や慰謝料など3500万円の支払いを求めて東京地裁に提訴したのだ。

 アニメーターは作画監督、絵コンテに従って画面を設計する背景画担当、原画と原画の間をつなぐ動画担当に分けられる。とくにアニメ主人公とともに動きの細かさを表現する背景画は完成度にもつながるため重要だ。そうした子供たちに夢を与える業界で、また問題が噴出しているのだ。
 「アニメ業界の待遇の悪さは昔から有名。ただ、今回は提訴額が大きい。東京MXTVなどアニメで稼ぐ局も出てきており、こうした状況が今後も続くのはどうか、と関連会社もじっくり成り行きを見守っています」(アニメ雑誌編集者)

 訴えなどによると、20代の女性社員は週6日の勤務。締め切り前はつねに7時間の残業を強いられながらも残業代は支払われなかったという。
 会社からも「アニメ業界に残業代という概念はない」と常にきつくいわれていたようだ。
 また、30代の男性社員は、原画などをスキャナーでパソコンに取り込む作業に従事。多いときには1日1000枚以上をまかされて頚椎症となった。

 それにしても、海外に人気アニメを“輸出”して外貨を獲得するというクール・ジャパン政策の実態としてはお粗末というしかない。
 問題は、やはり中間搾取業者の存在だろう。
 アニメ業界もテレビ番組などと同じように、中間に入る制作会社が大金を懐に入れ、末端の会社が受け取る額が大幅に減っているのが実情。
 このへんにメスを入れないと、いつまでもアニメ業界の惨状は変わらないだろう。
 このまま同じような“金の流れ”が続けば、倒産する下請け業者は増えていくだけだ。日テレ・大久保社長も頭を抱えるばかりである。
(編集長・黒川誠一)

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