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不動産屋は見た! 本当にあった事故物件レポート(1)

 自殺・殺人・心中などの理由で人が亡くなった物件を「事故物件」と呼ぶ。新たな新生活を夢見て不動産探しを行う際は、なるべく避けて選びたいと思うのが当然だ。しかし、年間約1万5000戸以上で自殺が発生しているほか殺人などの事件も含めれば、事故物件数は年々増加傾向にある。
 事故物件の定義については業界内でも明確に定められていないが、某大手不動産仲介業者によると「居住用の物件で殺人、自殺、心中など自然死ではない事象が発生した物件を事故物件としている」という。裁判事例にもよるが、ここ数年では「孤独死」が事故物件に該当するケースが見られる。その理由はこうだ。

 近年は特に単身高齢者が一人暮らしを余儀なくされ、自室で病死する「孤独死」が増えている。冬場のトイレや浴室内で急激な温度差で血圧が上昇するヒートショックによる突然死も多い。彼ら単身者や身寄りのない人が亡くなると、遺体の発見が遅れて腐敗する。そのため、事故物件扱いになることがあるのだ。
 「経験上、事故の原因は孤独死が最多で、次いで自殺、他殺が多い」(前出の不動産仲介業者)
 会社勤めなど仕事をしていれば、同僚や家族が心配して自宅を訪れた際、亡くなっていることが早めに発覚するケースがある。しかし、身寄りがない高齢者やフリーターは亡くなっていることに気付かれず、死後数日から数週間経ってから部屋に充満する死臭で近隣住民が異変を感じ、通報で発覚することが多いという。

 自殺に関しては、前述したように「自宅での自殺」は年間約1万5000戸以上発生している。
 「背景にあるのは仕事関係の浮き沈みや夫婦間のトラブル。これらが大半を占めている。性別では男性が圧倒的に多い」(葬儀業者)

 誰にも相談できないといった人間関係の希薄化や精神的な病で追い詰められ、衝動的に自殺する人は絶えない。従前からドアノブやクローゼットでの首吊り、練炭自殺が多く、インターネットで違法な薬や毒物を購入して服毒自殺を図るなども散見される。
 「死後1カ月近く経つと、遺体から油が染み出て人型のシミになる。掃除では落ちません」(清掃業者)
 「体から湧くウジ虫やシミは改修工事をすれば回復できますが、死臭は全然取れません。あまりの臭いのひどさに、近隣住民も退去することがあるほどです」(不動産販売業者)

 当事者だけではなく、近隣への影響も甚大だ。こうした場合、不動産オーナーは連帯保証人に対して、部屋の修繕費(現状回復費用)などの損害賠償を求めて訴訟に発展することもある。
 「死亡後1日以上経過すると重要事項説明の項目に記載される場合が多いですね。ただし、この重要事項説明の項目に記載があると不動産価値が毀損するため、故意に孤独死を隠蔽して売却する悪質な業者も存在します」(同・販売業者)

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