A:今年の夏は非常に暑く、しかも9月の終わりまでそれが続きました。そして、10月に入ってから急に気温が下がってきました。
このように気候が急に変化すると体はついていけません。ご質門の方の症状も、そのために起こったものと思われます。
私たちの体には、ホメオスタシス(恒常性の維持)の仕組みが備わっており、その仕組みの中心になっているのが自律神経です。自律神経は、外部からの刺激に対して皮膚表面の血流を減らしたり、あるいは増やしたりして、体内の環境、つまり血圧や体温などを一定に保とうとします。
自律神経のバランスが崩れると、よく知られていますが、不定愁訴といわれるさまざまな症状が起こります。
●恒常性の維持に異常
暑さから涼しさへの気候の変化が劇的で、その切り返しが極端だっため、体の内部環境がついていけず、自律神経が失調し、さまざまな症状が表れることがあるのです。
ホメオスタシスは、自律神経の他にホルモン、免疫系も関係しています。というより、自律神経とホルモン、免疫の3者が協力してホメオスタシスを保っています。
3者は互いに影響し合い、自律神経のバランスが崩れるとホルモンのバランスが乱れるし、結果的に免疫力を低下させます。免疫力が低下すると、さまざまな病気の発症につながります。
●体を温めよう
ご質門の方の症状も、ホメオスタシスが正常に回復するまでの一時的なものです。体が慣れれば、ホメオスタシスの働きによってうまくコントロールされるので、それらの症状も起こらなくなります。しかし、体の内部環境が秋の涼しい気候に慣れるには1カ月ほどかかるので、この間は注意が必要です。
では、ご質門の方はどのようにすればよいのでしょうか。日々、天気予報をチェックし、気候や気温の変化に巧みに対応し、それらが体に及ぼす影響をなるべく少なくすることが基本です。そして無理をせず、できるだけ体を休めるようにしましょう。
また、自分でできる健康法としては、使い捨てカイロや入浴など、体を温める方法が適しています。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。