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侍ジャパン会社人事で優位に立とうとする読売 球界の“脱巨人”は夢のまた夢

 侍ジャパンが日米野球で24年ぶりとなる勝ち越しを決めた。しかし、その舞台裏では球界の主導権を巡り、読売グループの巻き返しが進められていたようだ。

 11月21日に行われたオーナー会議で、侍ジャパンの興行会社『NPBエンタープライズ』の新社長が承認された。選ばれたのは、日本テレビのスポーツ局長代理兼スポーツ事業推進部長の今村司氏(54)である。
 「NPBエンタープライズを運営する上で、球界が目標としていたのは脱読売でした。まだ一部に残っている巨人にぶら下がる図式を完全払拭する、と…」(ベテラン記者)

 巨人戦がTV地上波から消えて久しい。確かにひと昔ほどではないが、巨人と他球団の興行能力には差がある。「巨人にぶら下がって」と指摘されるのは致し方のないところだ。そして、NPBエンタープライズの初陣となった今秋の日米野球は、5試合で総観客数は19万5228人を動員した。1試合平均約3万9千人となるが、「MLB側に人気選手や有名選手が少なかったのに、これだけの集客数に届いたのは読売のおかげ。認めざるを得ない」(NPB職員)という声が聞かれた。日米野球は読売新聞社が主催を務めているからだ。
 「パ・リーグ6球団は脱読売を掲げてきましたが、日本テレビから社長を迎えるのを承認するなんて“有言不実行”ですよ」(前出記者)

 巨人も12球団共存の時代性は認めている。とはいえ、今回の社長人事は波乱の幕開けになりそうだ。
 「近年、オーナー会議はセ・リーグとパ・リーグが意見を戦わせる図式になっていました。NPBエンタープライズの新社長が日本テレビからの派遣となり、中日の出方が変わるかもしれません」(球界関係者)

 中日は日米野球に選手を派遣していない。今季フル回転した又吉克樹投手(24)が候補に挙がったが、ドミニカ共和国で行われるウインターリーグへの派遣を理由に参加を辞退。当初の招集選手から3名が故障し、入れ替わることになったが、それでも中日選手は一人も選ばれなかった。西山和夫中日球団代表は「他意はない」とコメントしていたが、中日には09年WBCで選手派遣を断ったという前歴がある。当時の中日の言い分は「WBCは読売のイベントだから」だった。
 「熊崎勝彦コミッショナーを推したのはセ6球団であり、パは財界からの選出を訴えていました。今村氏の登場で、読売と同業他社の中日が、セの結束を継続するか疑問です」(前出関係者)

 対するパ・リーグは6球団で共同会社を運営しており、常に一枚岩である。他球団の主催ゲームのチケットも売る共存の姿勢には、DeNAやヤクルトも興味を示しているという。
 「来季は輪番制により、パからオーナー会議の議長が選手されます。これまでセが議論を有利に進められたのは議長を出していたからであり、状況が変わっていくかもしれません」(前出記者)
 パ・リーグは交流戦の試合数を24試合に戻したいとしており、読売との距離を縮めない中日や、経営に興味を持つDeNAなどを取り込んでくる可能性も捨てきれない。

 今村氏は日テレBSでの巨人戦を任されてきた。CS局の日テレプラスでソフトバンク主催試合(12年〜)や楽天主催試合(13年〜)の試合中継も担当しているが、読売グループから派遣された人間であることに違いはない。新社長のらつ腕に期待したいところだが、巨人が侍ジャパンで発言力を高めようとしている姿勢が垣間見える。
 侍ジャパンとオーナー会議。それぞれの舞台で主導権争いが激しさを増している。

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