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早実・清宮幸太郎獲りで早大VSプロ12球団ドラフト攻防戦

 日本シリーズも終わり、FA権を行使する選手との交渉が解禁となった。「選手が動く」のは、オフの風物詩。だが、そんなオフシーズン真っ只中にあって、12球団の一部幹部の目はすでに来季に向けられているという。今秋のドラフト会議で指名された選手たちと仮契約も結んでいないのに、すでに'17年のドラフト会議に向けて水面下で動き出しているのだ。
 「清宮クンですよ。来年は大変だよ」(在京スカウト)

 11月3日、秋季東京都高等学校野球大会で清宮幸太郎内野手(2年)のいる早稲田実業が優勝し、来春のセンバツ大会出場を確実なものとした。高校通算本塁打は、すでに74本。1年夏の甲子園で2本塁打、打率4割7分4厘を誇ったスタープレーヤーが戻ってくる。
 昨夏、甲子園だけにとどまらず一般メディアを巻き込んでのブームは、“異常”ともいえるものだった。あのブームが再び…。この人気が12球団スカウトを悩ませているのだ。
 「彼が来秋ドラフトの主役になります。でも、清宮は早大に進学するのではないか、との見方も強まってきました」(同)

 清宮は初等部から早稲田で学んできた。また、現在はラグビートップリーグ・ヤマハ発動機ジュビロの監督を務めている父・克幸氏も早大出身のスター選手で、後に早大監督として、3度も大学選手権を制した“早稲田のカリスマ”でもある。早大側も「今度は、(清宮の)息子が東京六大学野球を盛り上げてくれる」と期待していたとしても、決しておかしくはない。
 しかし、大学に進んで素質を開花させた選手も多いが、その反対もまた多い。同じ早実・早大出身の斎藤佑樹(日本ハム)がその典型だ。

 斎藤が夏の甲子園大会を制した'06年当時、12球団のスカウト間でこんな言葉が交わされていた。
 「最強のスカウトは巨人でもソフトバンクでもない。早大を始めとする有名大学」

 球児の親とすれば、通用するか分からないプロの世界に進むよりも、安全パイとして大卒の学歴を望む。「プロの世界はいつクビを切られるか分からない。4、5年でクビになるよりも、『学士』として堅実な人生を」と考えるのだ。こうした学歴志向は中学球児にまで及んでいる。
 「有望中学生がどの高校に進むかを決める際、進学に有利かどうかをはっきり確認してくる親御さんも少なくありません。進学を意識して、付属校や系列校を選ぶ家庭もあります」(スポーツライター・飯山満氏)

 硬式野球部を持つ大学は、8月から10月の間、翌年入学の高校3年生を対象としたセレクションを行う。『自己推薦制』とも呼ばれており、有望球児はここで大学合格の内定を取る。セレクションはどのスポーツ競技でも行われており、重要な戦力補強の場となっている。
 野球で進学できる、それも有名大学なら…。すでにプロでやっていける力を持った高校球児でも、『大学ブランド』にグラついてしまう者は多いという。
 「清宮クンを獲った球団がプロ野球報道の主役になるのは必至です。『清宮見たさ』で球場を超満員にできるはずですし、大学に進んだとしても、大学側にとってはこれ以上ない学校宣伝になります。早大グループ校の早実も『東京六大学リーグで勉強してからでもプロ入りは遅くない』と勧めてくるでしょうね」(前出・スカウト)

 先の東京都大会決勝で、清宮は5打席5三振を喫している。
 「対戦した日大三高の左投手、桜井周斗クンもプロ注目の逸材です。一級品の左腕に適応できないとなれば、清宮クンもプロ入りに怖気づいてしまうかも」(球界関係者)

 昨年8月、清宮はU-18W杯の壮行試合で大学代表チームと対戦している。そのとき、「清宮対田中正義(創価大)」の“真剣勝負”が実現した。清宮は「ちょっと詰まった」と言いながらも、センター前に適時打を放った。田中はプロ交流戦で二軍選手をキリキリ舞いさせた男。12球団スカウトは清宮の素質を再認識させられた。
 「清宮クンの通算74本塁打のうち、左方向に打ったのは1本だけ。スピード、パワーは一級品でも、トップクラスの左投手や変化球への対応は『これから』です。一時期、センターを守っていたけど、守備は二流。ですが、たとえ一塁しか守れなくても、あの人気はすごい。プロ側は是が非でも欲しい逸材なんです」(同)

 その課題を、格下の大学生投手相手に克服するか、プロ相手に揉まれるか。清宮にとっては人生の岐路となる。
 「父・克幸氏の意向も大きい。清宮家と交流もあって、早大グループにも顔が利くとなれば、ソフトバンクの王貞治会長しかいません。王会長を信頼してプロ入り表明となれば、他11球団は手が出せなくなってしまうが…」(同)

 大谷投手流出が避けられない日本ハム、スター不在の巨人は二重丸を付けている。阪神も「高山俊、大山悠輔、そして清宮」のクリーンアップで超変革を完成させたいはず。早大も手放したくない。この熾烈な争奪戦、果たしてどうなるか。

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