「チームが明るくなったのは間違いありません。あとは試合で勝って、選手の方にも明るさが出てくれば…。今は監督が陽気に振る舞って、それに選手、フロントも引っ張られている感じです」(現地入りした報道陣の一人)
キャンプインまでの間、プロ野球報道は、中畑監督のパフォーマンスに“ジャック”されてきた。
「その明るさは選手を鼓舞するための演技」とも囁かれていたが、そうではなかったようだ。
「意識してというよりも、自然に出ちゃうんでしょうね…」(前出・同)
そう、ダジャレである。沖縄キャンプイン初日のことだった。「もう笑いが止まらないよ。ナハ、ナハ…、あっ、ここは宜野湾か!?」と、“ナハ”と“那覇”をかけた寒〜いダジャレを披露したが、取材陣の反応はイマイチ。このとき、すでにインフルエンザウイルスに襲われていたのは間違いあるまい。
前日の全体ミーティングが明けた直後もそうだった。ミーティングは取材NGだが、中畑監督は待ち構えていた報道陣を見るなり、「笑いはないですよ。1個もない。何を話したか? オレが話したのは最後。大トリ(オードリー)ヘプバーン!」と、一発かました。
肝心のミーティング内容にしても、本誌が内々にキャッチしたところ、やはり“中畑節”が随所に散りばめられていた。
「(ボクに)ついてきてください」
中畑監督は二軍を含めた全選手にそう訴えたそうだ。
「ギャグは一切ありませんでした。選手は監督と対面してきちんと話をするのは、これが初めて。当然、選手は『どんな監督なんだろう?』と関心があったし、どういう野球をやっていくのか、興味を持って聞いていました。『ついて来い』ではなく、『ついて来てください』ですからね。選手、各コーチはその言葉だけが印象に残ったようでした」(球界関係者)
中畑監督は「前巨人・ラミレス以外は横一線」と強調し、全員にチャンスを与えるとも訴えたそうだ。競争意識を持つことの重要性を説き、その過程で「ついて来てください」の言葉が出たらしい。『熱いぜっ!』のキャッチフレーズとは似つかない弱々しいセリフである。
「現役時代からの明るさばかりが取り上げられてきましたが、本当は繊細な性格なんです。後輩の原辰徳監督に三塁と4番の座を奪われ、当時は相当傷ついていました。藤田元司監督が声を掛け、モチベーションが維持されていたというか…」(ベテラン記者)