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LiLiCoオススメ「肉食シネマ ★おいしいワインの裏側には深い物語あり 『おかえり、ブルゴーニュへ』

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提供:週刊実話

 お仕事お疲れ様です。仕事や家庭、お金のことなど、何かと考え事が多くなる年末。今回紹介する作品は、人生の深みについて、改めて考えさせられる1本です。

 3人の兄弟とその家族の物語ですが、冒頭から父親が亡くなるという悲しい出来事が起き、そこからワイナリーを継ぐのか、売却すのかの選択に悩まされます。子どもの頃からワインに親しんだとはいえ、みんなで考え、悩みながらワインの深みを知る。癒やされるブルゴーニュの風景と、ワインが飲みたくなるだけの映画では終わらないのが素晴らしいところ。

 この作品では、代々、頑張ってきた家族の思いやワイン作りの奥深さに気付かされます。また、ワイナリーを売るか売らないかを悩むシーンや、リアルな相続問題など、似たような経験をした方は、かなり感情移入できます。

 ちなみに、お酒の飲み方について考えてみると、お酒の種類にはこだわらない方もいますし、飲まない方は呑兵衛に対し、決まって「よく飲むよね〜」なんて言いますよね。でも、私はお酒をいただく時、その歴史も同時にいただくようにしています。シャンパンにそれぞれのバックグラウンドがあるように、ワインにもワイナリーの人々の思いと一緒にぶどうを積んだ人、樽に入れた人、飲み頃になった時にパーティーに参加した人など、本当に深い。そして、まさに、“ワインと女性は熟した方がおいしい”っていうのを声を大にして言いたい! 48歳を迎え、“オバサン”ではなく、“魅力的な女性として粋にワインを楽しみながら生きていきたい”と、この作品からいろんなことが勉強できます。

 このように、劇中ではワインそのものだけでなく、家族のこともしっかり描かれていて、あのワイナリーでアルバイトしたい、手伝いたい、悩みを聞いてあげたい、と出演者が妙に身近に感じてしまいます。

 さらに、兄弟が大人になった時の微妙な距離感がリアル。長男が海外に住んでいるから、余計にどこか心が離れた所もあったりする。久しぶりの故郷には様々な人間模様があり、欠けてしまった数年間を埋める作業はうまくいくのか? 味わい深い映画なんです。

 私は、この作品を見て、すぐにでもスウェーデンへ帰って、弟にハグしたいと思いました。もちろん、ワインを1杯楽しみながらね。

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■『おかえり、ブルゴーニュへ』
監督/セドリック・クラピッシュ 出演/ピオ・マルマイ、アナ・ジラルド、フランソワ・シビル 配給/キノフィルムズ ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEAほか全国順次公開中。
■ フランス・ブルゴーニュにあるドメーヌ(ワイン生産者)の長男は、世界を旅するために家を飛び出したが、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷へ戻ってくる。家業を継ぐ妹のジュリエット、そして別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミーと久しぶりの再会を果たしたのもつかの間、父親が他界する。残されたぶどう畑や相続をめぐる問題に直面する中、父親が亡くなってから最初のぶどうの収穫時期を迎え、兄弟たちはワインを作るため協力し合う。しかし、その陰では、長男は離婚問題、長女は醸造家としての方向性、二男は義父との問題と、打ち明けづらい悩みや問題を抱えていた。

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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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