「『どうせ私なんて…』がその女友達の口癖。いかに自分が苦労してきたか、不幸なのか、といったことを自慢してきていたんです。最初のうちは『大変だね』と聞いていたサークルの人間も、すぐに嫌がるようになりました。これも、今で言うところの“マウンティング女”の一種ですよね」
Uさんには、その女友達と疎遠になることができない、ある悲しい理由があった。
「私は親友を中学生時代に自死で亡くしているんです。親友は明るい子でしたが、自死の直前は暗い話ばかりしていました。まだ未熟だった当時の私は、突き放してしまって。親友を救えなかったという負い目なのか、その女友達のことを、放っておけなかったんです」
ところが、このUさんの気持ちが裏目に出てしまう。
「女友達と2人で飲んだときに、酔いが回って、つい親友のことを話したんです。そうしたら、女友達が『私だって、親戚のおばさんとか、ペットが死んだときはつらかったから!』と、まさかのマウンティングをしてきて。私は酔いも覚めて、『命のことは、比べるものじゃないと思うよ』と冷静に言いました」
それが女友達にとっては気に食わなかったのか、Uさんは女友達から手酷い仕打ちを受けた。
「その後のサークルの飲み会で、『優しい人の相談に乗っているフリをして、自分の不幸自慢をしてくる人間って、一番タチが悪くない?』と、私の悪口をほかの人に言っていたんです。それだけならまだよかったのですが、『親友が自殺したら悲劇のヒロインになれるなら、私もそんな経験がしたいな』とまで言い出して…。周りの人間は女友達に引いていましたが、頭に血が上った私はブチ切れて、女友達の顔面に飲み物をかけて帰りました。そのままサークルをやめて、女友達とも縁を切り、その後は大学生活を平穏に過ごしました。女友達は、今では本当に不幸になっていると共通の友達から聞きましたが、はっきり言ってどうでもいいですね」
自分は不幸だとマウンティングするのは勝手だが、それで人を傷つけ、実際に不幸になってしまうというのは「自業自得」としか言いようがないだろう。
文/浅利 水奈