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【帰ってきたアイドル親衛隊】役者やってる吉川晃司も嫌いではないが、やはりステージで暴れている姿が一番だ

 1984年2月に『モニカ』でデビューを果たした吉川晃司。アイドル歌手としてデビューしたが、デビュー曲の『モニカ』は、アイドル離れしたカッコイイ音楽で、いきなりオリコンチャート4位を獲得。6月に公開された映画『すかんぴんウォーク』にも主演し、その主題歌となったのが『モニカ』である。

 中学3年の冬に吉川を知ることになるのだが、とにかく『モニカ』の歌い出しの「真夜中のスコール〜」という部分を聞くだけで興奮してしまったものだ。思春期真っ只中の私は、この「真夜中のスコール」が「真夜中にシコール」と聞こえてしまい、恥ずかしながら頭の中が「シコール」という言葉でイッパイになっていた。

 『モニカ』が主題歌になり吉川が主演となった映画『すかんぴんウォーク』では、アイドル離れしたカッコイイ演技を見せてくれて、歌手に俳優にと華やかなスタートを切ることになった。この時に注目度の高かった吉川は、菊池桃子・岡田有希子・荻野目洋子・長山洋子・少女隊などが同期になり、この年の新人賞レースに参加した。直前に菊池桃子が賞獲りレースを辞退したことで、吉川と岡田有希子のマッチレースのような形で賞獲りレースは展開された。当時は岡田有希子の熱狂的なファンだった私は、音楽祭などの現場に行くことも多かったので、吉川の生のステージを何度も観ることができた。

 吉川といえば、楽曲の間奏などでバック転をするパフォーマンスをしばし見せていた。頻繁に出演していた『ザ・ベストテン』(TBS系)でもバック転を何度も披露してくれた。ある日どこかのプールから中継されて出演になった時に、いきなりプールの中に、バック転で飛び込むという荒業を見せてくれた。かつて水球をやっていたこともあり、こんな無謀なことに挑戦したと思うが、この瞬間はテレビの前で釘付けになってしまい、さっそくプールでマネてみたのだが、私ができる訳がなかった。

 次第に吉川に対する憧れも強くなり、当時の服装を参考にするようになり、吉川の着ているブランドをチェックしてみた。この頃はDCブランドが大ブームとなっていて、吉川は『DOMON』や『グラスメンズ』といったブランドを好んで着ていた。私もそのブランドの服を着て、少しでも吉川に近付きたい気持ちになっていた。まず『グラスメンズ』のカラースーツを購入。そのスーツを着て、吉川の行きつけだと言われていた六本木のディスコに通うようになった。結果ディスコで吉川に会うことはできなかったが、そこで吉川になりきっている自分が大好きだった。

 吉川に会うこともなく、88年初頭あたりから完全に活動しなくなってしまい、このまま引退してしまうのだと思い込んでしまった。しかしここで意外な展開で吉川は戻ってきた。88年に解散したBOØWYのギタリストだった布袋寅泰と吉川が組んで、COMPLEXとしての活動がスタートした。89年に『BE MY BABY』でデビューを果たし、一気にスターダムへとのし上がった。しかしシングルを2枚、アルバムを2枚発売しただけで、2年にも満たない活動期間で解散してしまった。90年11月に東京ドームで解散コンサートが行われたが、コンサートの最後に吉川が「またここで会いましょう」と言ってコンサートの幕は閉じてしまった。

 それから吉川は再びソロ活動に戻り、コンサートを中心にアーティスト活動をしていた。94年くらいまでは頻繁にコンサートに足を運んでいたのだが、次第に活動の拠点も変わりつつあり、俳優をメインに活動するようになってしまった。役者をやっている吉川も嫌いではないが、やはりステージで暴れている吉川が大好きな私にとって、何となく物足りなさもあった。そんな気持ちを吹き飛ばしてくれるような出来事が起きた。2011年7月に東京ドームでCOMPLEXが一夜限りの再結成をすることになった。解散コンサートと同じ東京ドームで吉川が「またここで会いましょう」という言葉を思い出した。しっかり約束を守ってくれた吉川。しかもこのコンサートは登場の仕方からセットリストまで、すべて当時と同じであり、当時の解散コンサートを観ている人にとってはたまらない演出だった。吉川の「またここで会いましょう」という言葉を信じて待っていて本当に良かったと思った瞬間である。

 いつも私に夢を与えてくれていた吉川は、今では世間的には俳優というイメージが強くなっている感じだが、またパワフルで力強いステージを観たいので、新曲を発売してツアーをやって欲しい希望がある。もちろんその時は昔のように吉川になりきって観に行きたいと思います。

(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)

【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。

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