A:歯と骨、顎の骨格について簡単に説明すると、歯は歯槽骨という骨によって支えられています。それは、歯の下にあるもの。顎の骨は上が上顎骨、下が下顎骨で、いずれも骨体部と歯が植わっている歯槽骨とに分けられます。
歯槽骨は、歯根が顎の骨の中に入っている部分の骨。歯は表面に出ている部分を歯冠といい、歯肉に埋まっている部分を歯根といいます。
さらに、上顎骨、下顎骨は首の骨(頸椎)とかかわり合っています。以上のような仕組みのなかで、歯は存在しているのです。
●歯が抜けると歯並びのアーチが崩れる
歯並びはアーチを描いており、歯と歯が拮抗することによって保たれています。どの歯であれ、失われたまま放置しているとバランスが崩れ、アーチは狭くなります。
ご質問の方の場合、奥歯がかなり欠けているようですから、空いたところを埋めようと残りの歯が接近しようとします。だから、アーチがますます狭くなってきたのでしょう。
インプラント治療を受ければ、失った歯を取り戻すことができ、正常なアーチを回復することができます。
しかし、インプラントをしないなら、うまく折り合っていくしかありません。
しかし、歯と歯が詰まってくる感じは、自分でかなりコントロールできます。
●頬の筋肉ストレッチ
実は、歯並びを保持するには、頬の筋肉の働きも関係しています。
ですから、頬の筋肉を鍛えるストレッチを行えば、歯と歯が詰まってくる感じは相当解消できます。
普段、頬の筋肉を使うのは、しゃべったり、笑ったり、物を食べたりするとき。それに、トレーニングを加えるのです。とても簡単で、口を「イーッ」と大きく左右に引く動作をくり返すだけ。
これを朝晩の歯磨きのときや、歯が詰まってきたと感じたときにしっかり行えばいいのです。
即効性があるので、行ってすぐ、嫌な感じが解消するのが実感できるはず。
ただし、効果はさほど持続しないので、毎日、定期的に行うようお薦めします。
山田 晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。