日本のマスコミ各社は、「米国との経済戦争による消費冷え込みの影響で中国経済が急ブレーキ」などとネガティブな論調が多いが、鵜呑みにしていいものか。
「中国では、リーマンショック後の'09年から断続的に小型車減税が行われていましたが、それが'17年末で終了しているんです。このため、'18年は“減税終了前の駆け込み需要”の反動から、前年を下回るという予測が立っていました。すでに中国は“次の一手”を用意しており、発表された販売台数の減少は、その歪みにすぎないという見方もあります」(自動車評論家)
中国が今年からスタートする一手とは、NEVと呼ばれる新エネルギー車(電気自動車や燃料電池車など)に関する規制だ。具体的には、中国国内で一定台数以上の車両の生産、輸入販売するメーカーに対し、中国政府が一定割合(当初は10%)のNEVの販売を義務付けるというもの。
「昨年末の広州モーターショーでは、中国のメーカーが軒並みNEVを発表し、NEVの展示会のようでした。一方、欧州や日本の大手自動車メーカーは、既存のエンジン車種やハイブリッド車を発表しただけ。日本のマスコミは〈静観〉と擁護しましたが、中国メーカーに出遅れたという印象です」(同)
いまや“世界一の自動車販売市場”となっている中国だが、「自動車製造」の面においては、まだまだ後進国。ただ、電動化や自動運転など、100年に一度の技術革新が起きている自動車業界では、これまでのメーカーのアドバンテージが通用しなくなり、形勢逆転も可能になる。中国はその波に乗ろうと、国を挙げて取り組んでいるのである。
日本の電機メーカーのように、気がつけば中国に飲み込まれているという事態だけは避けたいところだ。