“神の子”が完全復活へ動き出した。
KIDは昨年7月に右ひざ前十字じん帯を断裂し、8月1日に手術。以後、懸命にリハビリを続け、今年5月26日の「DREAM.9」(横浜アリーナ)で行われたフェザー級グランプリ2回戦で、512日ぶりの復帰を果たした。
しかし、元レスリング世界王者のジョー・ウォーレンの老かいなテクニックに攻め手を欠き、2-1の判定負け。まさかの黒星スタートとなった。
「5歳から(試合を)やってるから、負けたことは数え切れない。負けて落ち込んだことはない」というKIDは、敗戦直後に谷川貞治イベントプロデューサー(EP)に「とにかくどんどん試合をこなしたい」とK-1参戦を直訴。谷川EPも「原点に戻ってK-1に出てほしい。野性味を取り戻してもらいたい」と、韓国のムエタイ王者を対戦相手に用意した。
KIDがK-1のリングに上がるのは05年5月のマイク・ザンビディス戦以来、実に4年ぶり。ファイターとしてのブランクに加え、K-1スタイルでの戦いにも不安は残るが、KIDは「ムエタイチャンピオンにどれぐらい通用するか試したい」と、自身が目指す“レスリングとムエタイをミックスしたMMAスタイル”の確立へ、早くも闘志満々だ。
「試合カンを取り戻すため」9月開催予定の「DREAM」や年末の「Dynamite!!」参戦を目標に掲げたKIDだが、今回、あえてK-1参戦を決意した裏には、同大会に出場する魔裟斗の存在があったはず。
KIDと魔裟斗は04年大みそかの「Dynamite!!」で対戦。敗れはしたものの、MAXのカリスマ・魔裟斗からダウンを奪ったことから、KIDの名前は一躍世に知れ渡り、その人気と地位を不動のものにした。
魔裟斗は同大会での川尻達也戦、そして年末の「Dynamite!!」でのMAX優勝者との対戦を最後に引退を表明しており、すでに同大会のチケットは魔裟斗人気で完売寸前。そこにKIDが参戦しKO勝利を収めることで、超満員の観客に完全復活をアピールすると同時に、“主役”の座を魔裟斗から奪い取るつもりだ。
「前回(DREAM)がずっと抱き合ったままで終わったから、今度はスカッとしたいな」と、得意のキックでのKO勝ちを宣言したKID。予告通りに完勝を収めて魔裟斗に“リベンジ”を果たせるか。