厚生労働省は1月25日、「毎月勤労統計」の不正調査について再検証を始めた。外部有識者による特別監察委員会が行ったとしていた厚労省職員らへの聞き取りの一部を「身内」の同省職員が担っていたことが明らかになり、第三者性への疑念が強まったためだ。検証結果の公表からわずか3日での再検証は極めて異例だ。
しかも同省の事務方ナンバー2、宮川晃厚生労働審議官が「監察委」のヒアリングに参加していたことが発覚。また定塚由美子官房長も「監察委」による幹部職員の聴取に同席していたと批判されている。
「そもそも監察委の樋口美雄委員長が、厚労省所管の労働政策研究・研修機構理事長で、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の会長などを務める人ですから『第三者性』が担保されていませんね」(政治記者)
ここを先途とばかりに立憲民主党が攻め立てた。初鹿明博議員が「相当間抜けなんです。一言で言えば」と皮肉れば、立憲民主党・辻本国対委員長も「やり直した方がいい。職員だけのヒアリングをしている人がいる。これは断じて認められない」と件の調査の一部が、第三者を交えない厚労省の身内による調査だったとして、調査のやり直しを要求した。
ギリシャでは09年、前の政権が財政赤字の数字をごまかしていたことが発覚して、国の信用が失墜、経済危機を招いた。
「昨年6月に不適切な調査が原因で、日本の賃金に高い伸びが示されると、海外の投資家などから問い合わせが相次ぎました。日本はデフレから脱却してインフレになるのか、デフレの国から転換していくんじゃないかという期待が持たれたのです。それが海外から見たときに、数字があまりアテにならないという話になってくると、『そんな不透明な国では投資やビジネスができない』となり、ますます日本離れが進んでしまいかねません」(経済アナリスト)
重要統計の4割に問題あるとされたのでは“日本の信用”はガタ落ちだ。