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専門医に聞け! Q&A アルコールの摂り過ぎ対策

 Q:365日、毎日欠かさずお酒を飲みます。酒の量が増えたわけではないのですが、1年ぐらい前から、多少でも飲む量が多いと翌朝、下痢をし、体に疲れが残るようになりました。飲酒から体を守るのに効果がある漢方薬がありましたら教えてください。(48歳・広告代理店勤務)。

 A:毎晩、どれぐらいの量のお酒を飲んでいるかわかりませんが、ご質問の方はおそらく虚証の体質だと思われます。
 漢方では、病気を防ぎ健康に保とうとする力、すなわち生命力・抵抗力を「正気」と、健康を乱し病気をもたらすものを「邪」と呼んでいます。漢方では、すべての発病の仕組みは、「正気」の低下と「正気・邪」の二つの力関係によって説明されます。
 そして、邪の強弱は、個人の正気の強弱と相対関係にあります。生命力・抵抗力が不足した場合、たとえ他の人にとっては弱い邪であっても、発病します。
 一方、正気が正常でも、邪のほうがより強いこともあります。たとえば、健康な人が傷んだ食べ物を食べて下痢した場合です。
 自然界には一定の変化や流れがあり、人間はそれに従ってこそ、初めて健康を保つことができます。しかし、風・寒・熱・燥・湿などの自然が人間の許容範囲を超えると「邪」になります。

●酒はほどほどがよい
 また、邪は体内で発生することもあります。飲食物・血・水分などは、スムーズに運ばれたり体内を巡ることが正常であり、「正気」を保った状態ですが、この流れが停滞すると「邪」となり病気になるのです。
 そして、いったん病気になった場合にも、漢方では、その状態や経過を説明するのにも、「正気(不足)」と「邪」という概念を用いています。つまり、虚証とは、「正気不足」の状態。実証とは、「正気が邪に負けた状態」です。
 ご質問の方は、お酒を飲み過ぎると下痢し体に疲れが残るそうですが、もともと胃腸が弱く典型的な虚証です。この証の人に適している漢方薬に『五苓散』や『平胃散』があります。
 一方、実証の酒飲みの人は、体内に熱が過剰につくられ熱が溜まります。その熱を冷ます働きがある漢方薬に『黄連解毒湯』があります。これらの漢方薬を活用するとよいでしょう。
 漢方では、お酒を飲んではいけないとは言っていませんが大酒はいけません。「花は半開、酒はほろ酔い」と言いますが、ほどほどがよいのです。
 虚証、実証に関係なく、飲める人は飲めます。しかし、これ以上の量を飲むと体にこたえるだろう、ということを意識して飲むようにしたいものです。

三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
 熱心な東洋医学の名医として著名。東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。

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