敗れた原辰徳・巨人監督は虎ナインの表彰や記念撮影のセレモニーを見せつけられた後、記者団に囲まれ「敗軍の将、何とかというやつでね…」と言って下を向いた。
「原監督は『短期決戦に強いチームを作る』と意気込んで今季に臨みました。主将の阿部慎之助をはじめ、主力選手がそろって不調で苦しいシリーズとなりましたが、読売首脳陣からすれば最悪の結果になったと言っていいでしょう。球団創設80周年の今年、日本一を至上命令としていたのに、阪神のお膳立てをしてしまい、かつ、昨季の日本シリーズ敗退に続いて短期決戦に弱いところを全国中継で晒してしまったのですから」(ベテラン記者)
ペナント優勝が決まった直後、読売首脳陣は原采配を絶賛した。そういった経緯もある以上、CS惨敗の非を咎められないだろう。
一方、阪神は「結果オーライ」といった雰囲気だった。坂井信也オーナー、南信男球団社長は、ともに就任以来初の“日本シリーズ進出”となる。
「タイガースの親会社でもある阪急阪神ホールディングスの主体は阪急です。南社長は昨年6月に親会社の取締役を退いており、球団社長の座も危うい状況でした」(在阪記者)
同社長は歓喜の瞬間を東京ドームで見守っていた。記者団にCSで和田采配が的中した件を質問されると「シーズン中と同じでしたよ」と“余裕の表情”で返していた。優勝圏内から完全に脱落した1カ月ほど前は目をつり上げ、監督人事も含めた再建策に奔走していたのだが…。
しかし、トラの本当の戦いはこれからといえる。日本シリーズはもちろんだが、“CS下剋上”の功労者たちに、その報酬を払いきれないかもしれないのだ。
「何かと物入りなオフになりそうです。トラ恒例の“お家騒動”ってやつですね」(トラ番記者)
首位打者・マートン、打点王・ゴメス、最多勝&最多奪三振・メッセンジャー、セーブ王・呉昇桓、ホールドポイント・福原忍。主要タイトルホルダーだけでもこれだけいる。
「マートン、ゴメスとは残留契約を行わなければなりません。初タイトルの福原は大幅昇給が確実で、FA権を取得した西岡剛、能見篤史とも慰留の交渉をしなければなりません」(同)
さらにシーズン絶不調だった福留孝介のCS活躍。3年契約の2年目ながら、一時は「契約途中での解雇」も伝えられたほどだったが見事によみがえり「ミスター・オクトーバー(10月)」と言われるまでに。日本シリーズでもキーマンになりそうだが、見方を変えれば“帳尻合わせ”だ。