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思惑孕むイオンVS公取委

 大手スーパーのイオンが、原価を下回るほどの不当に安い価格でビールを販売したとして、公正取引委員会から警告を受けた。ところが記者会見したイオンの横尾博専務執行役は「卸売会社に対し、原価を下回る価格で納入を要請した事実はない」と全面否定。卸売会社も承知しており、ましてや消費者にとっては“余計なお世話”としか言いようがないこの話、一体どんな裏があるというのか。
 「ビール系飲料はスーパーにとって特売の目玉商品です。まして卸と大手スーパーでは力関係はハッキリしている。もし卸がバカ安価格での納入を拒めば、明日からの取引は見込めない。たとえスーパーが納入価格を指定しなかったとしても『あの会社はこんな価格を提示している』と言えば、それだけで強い圧力になります」(卸業関係者)

 実際、こんな話がある。2007年秋、キリンはライバルに先んじてビールなどの値上げを発表した。これに猛反発したのがスーパー各社で、とりわけイオンは「可能な限り店頭価格を維持する。あらゆる選択肢を提案する」とのコメントを発表、値上げ阻止の姿勢を鮮明に打ち出した。
 「あのときは他社が追随値上げしたことから、結局イオンは矛を収めました。しかし'05年の奨励金廃止時には、自社の物流センターに直接ビールを納入するコストダウンで相殺するなど、店頭価格の値上がりを押さえ込んだ。そんなノウハウの蓄積があるイオンのこと、今回だって公取委が腰を上げざるを得ない事情があったのでしょう」(経済記者)

 卸業者とて原価割れでは商売にならない。別の商品納入でタップリ回収したのか、それとも裏技を駆使したのか−−。
 攻防戦がヒートアップするのも結構だが、安いビールは冷えたままがいい。

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