公開される前から話題になっている、パソコン画面上だけで繰り広げられるこの映画。そう、たぶん、私と同じことを考えた人もいると思います。“そんなこといっても、ちょっとくらいパソコンから離れるのでは?”と。でも、それがホントにないから驚きです。
監督は、27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティ。この人もまた驚いたことに、これが初の劇場用映画。“天才かっ!”と突っ込みたくなります。
今年前半の話題が『カメラを止めるな!』だとしたら、この『サーチ』は後半のヒットの予感。映画館数の規模は大きくないけど、口コミで広まりそうな雰囲気も、『カメラ〜』と同じです。映画関係者の中でも評判がよくて、一足早く映画が見られる私たちにとっては“早くみんなに届けたい”、そんな思いです。
ストーリーはとても簡単。ある日、デビッドの娘のマーゴットが行方不明に。母は数年前に他界したが、その後も父と娘の関係はとてもよかった。マーゴットのことは十分理解しているつもりだった父は、娘がネットに投稿した画像を見てみる。フェイスブック、インスタグラム、ツイッター…だが、そこで全く知らない娘の一面を知ることになります。
活発な子のはずが、SNS上にいるマーゴットはまるで別人。それでも父は、どうにか娘の行方を探し、もし事件に巻き込まれているなら犯人を捕まえたい一心で娘のネット上でのお友達を探し始めます。でも、友達として繋がっていた人はみんな冷たく、“あまり話したことがない”“見掛けるほどの仲”など、全く関心を示さない。ところが、です。このニュースがテレビなどで話題になるや、これまで素っ気なかった友達たちが一転、“いつも一緒にいた”と涙を流しながらテレビで露出を狙って語るのです。
すごくリアリティーがあって、怖すぎます。確かに“露出”や“話題”が絡んでくると、人間は態度が一変することがあります。それを面白く描いた映画でもある。人間の素の姿を垣間見るとともに、いろんなことが判明し、物語が二転三転。見ているこちらも、どんどん興奮して、無意識のうちに、スクリーンの中のお父さんと犯人探しをしてしまいます。
この映画のキャッチは“娘が行方不明。唯一の手がかりは24億8千万人のSNSの中にいる”。まさに、その緊張感溢れる1本! サスペンス、ミステリー、友情、親子愛、すべてが入った注目の作品です。
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■『search/サーチ』
監督/アニーシュ・チャガンティ 出演/ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー 配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 10月26日(金)全国ロードショー。■突然、姿を消した16歳の女子高生マーゴット。行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか、誘拐なのか分からないまま37時間が経過する。娘の無事を信じたい父親のデビッドは、彼女のPCにログインして、インスタグラム、フェイスブック、ツイッターなど、登録しているSNSにアクセスを試みる。だが、そこに映し出されたのは、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らない姿があった。
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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。