「自民党内の世論調査や全国紙の事前調査で、市長選出馬の松井一郎氏と自民党候補の柳本顕氏がほとんど横一線だというのです。これは府知事選に転じた大阪維新の吉村洋文氏と自民党候補の小西禎一氏もしかり。大接戦です」(全国紙政治部記者)
背景にあるのは、維新の手法に有権者の反発が高いことが挙げられる。
「維新への選挙手法をめぐる批判が予想以上に強い。前回決着がついた大阪都構想なのに、2人そろって任期を半年以上も残して辞め、市長と知事で入れ替わる必要性があるのか。自民党などが党利党略と批判している声に支持が集まり始めています」(在阪記者)
ドタバタ劇だった割に自民党候補者の質もいい。
「小西氏は元副知事。しかも、あの橋下徹氏でさえブログで人柄と才能を認めざるを得ないほど。小西氏は橋下、松井両府知事時代の最側近で、行政にも精通していたといいます。柳本氏も大阪市長選で橋下氏と争った際“論争負けしなかった実力はすごい”と評判でした」(同)
気になるのは公明党の動向だ。
「’15年のダブル選挙では公明は自主投票だった。当時は橋下旋風が吹き荒れ、反維新ならズタズタにされ、とても自民党支持に回れるような状況ではなかった。しかし、今回は維新人気を支える橋下氏が静観の構え。そして維新人気が’15年より下がっていると判断し、堂々と自民党を支援できるのです」(同)
そもそも、維新と公明党の対立は昨年末、松井氏が公にした密約暴露にある。’17年に維新幹事長と公明党府本部幹事長の間で交わされた合意文書には、都構想について「今任期中で住民投票を実施」と明記。しかし、公明党が住民投票へのスケジュールを明確にしないことに松井氏がぶち切れて密約を暴露、今回のW選挙に至ったわけだ。
「密約をバラされた公明党も、創価学会の原田稔会長、谷川佳樹主任副会長らも怒り心頭で、維新との激突にゴーサインを出したといわれています」(某府議)
維新は府知事、市長選挙のどちらかで負ければ、党は壊滅必至だ。
「キーマンは橋下氏です。橋下氏と松井氏の絆は想像以上に強い。最後は必ず街頭に立ってくれる。橋下氏の殴り込みで大阪の有権者の空気はガラッと変わりますわ」(維新関係者)
橋下氏は3月19日の一般講演でこう謎かけした。
〈波風を立てずに調整していく政治がいいのか。それとも波風を立てるドタバタ政治がいいのか。物事を動かすには政治の力が重要。ドタバタ政治で動く〉