「本音をいえばGIスプリンターズSに魅力を感じたんだ。でも、目の前にある優勝賞金5000万を取りにいかない手もないからね」
頼もしき愛馬と一心同体の調教役・柳田助手は“名”を取るのか、“実”を取るのか、「オーナー、先生を含めて直前まで迷った」とその複雑な思いを明かしてくれたが、「ここをやめてもスプリンターズSを勝てる保証はどこにもない」の結論で、4日午後、このセントウルS出走を決断。もちろん、いうまでもなく、その難しい選択に断を下させたのは「2年前に札幌から栗東に戻ってきた時は、かなりダメージが大きかったが、6歳の今夏はまるで疲れがない。その証拠に8月29日に帰ってきて、わずか4日後に時計を出しているんだからね」という顕著な体質強化と、「前走は正直、ギリギリ間に合った感じ。2週前に熱発して体調が本当じゃなかったんだ。それでいてあの競馬。4角内外の差がなければ勝っていた」と振り返るキーンランドCでつかんだ確かなる自信があるからに他ならない。
無論、クールな勝負師・角田も「いろんなことで風が吹いている。モチベーションは高いですよ」とハートは“熱い”。同じローテで戴冠したシーイズトウショウから1年。2代目サマースプリント王者に輝くは完熟ボディにうれにうれたアグネスラズベリだ。