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日本人メジャーリーガーの『帰国ラッシュ』が始まる?

 トレードを模索中−−。7月に入り、米メディアの野球欄では、そんな見出しが目立つようになった。ペナントレースの佳境はこれからだが、メジャーリーグでは『トレード』に対する解釈が日本球界とは少し異なる。日本でもシーズン中の緊急補強は行われているが、アメリカ球界では「大型トレードは7月の風物詩」でもあるのだ。

 まず、優勝争いから完全に脱落したチームは、選手の入れ替えを検討する。高額年俸、あるいはピークを過ぎたベテラン選手が放出の対象となり、その見返りに何人かの若手選手を獲得する。来年以降を見据えた『チーム再建』を進めるためである。その反対に、優勝争いに加わっているチームは、トレードを“最後の戦力補強”と捉え、下位チームの大物・有名選手の獲得を検討する。ちょっと乱暴な言い方になるが、上位チームが下位チームを草刈り場にするのである。
 「ペナントレースの順位に関係なく、FA選手が『トレードの対象』となるケースもあります。FAを引き止めるにはそれなりの年俸を用意しなければなりません。球団として、そのFA対象選手の引き止めるのに十分な資金を用意できないと判断した場合、もしくは、引き止める必要がないと判断すれば、シーズン終了を待たず、自分たちからトレード話を持ち掛け、放出してしまうケースも珍しくありません。オフになってFAで退団されるより、トレードで交換要員を獲った方がマシですから」(プロ野球解説者)

 さて、前置きが長くなったが、「放出対象選手」のなかに、日本人メジャーリーガーが含まれていた。ピッツバーグ・パイレーツの岩村明憲内野手(31)、シカゴ・カブスの福留孝介外野手(33)の2人だ。
 岩村はベンチ入りの『メンバー25人』だけではなく、メジャー契約の40人枠からも外されてしまった。パイレーツのニール・ハンティントンGMも、岩村が『放出対象選手』であることを明言した。
 「もし移籍がまとまらなければ、彼には(傘下マイナーの)インディアナポリスに行ってもらう。復調のサポートはしたいが…」
 だが、岩村を「欲しい」と言う球団は現れなかった。「4億3000万円の高額年俸がネックになった」というのが、現地日本人メディアの一致した見方である。
 「福留もレギュラーポジションを奪われ、苦しいシーズンとなりました。どうやら、球団オーナーが『福留は商売にならない』と判断したようです」(日本人メディアの1人)
 福留は「イチローと松井秀を足して、2で割ったような選手」と高く評価されていた。しかし、昨季、カブスを買収し、新たな球団オーナーとなったジョー・リケッツ氏(証券マン)はシビアな判断を下した。
 「福留で日本企業からの広告出資が入ってくると見込んでいたんですが…。リケッツ氏の経営する証券会社を介して、日本企業数社に働きかけたのですが、芳しい返事は得られなかったそうです」(前出・同)
 福留の契約は来季まで残っている。年俸は1300万ドル(約11億7000万円)だから、買い手が付かない深刻さは、岩村以上だろう。福留は40人枠から外されていないが、今オフ、カブスが契約破棄を申し出てくる可能性はかなり高い。

 故障、チーム編成など事情は異なるが、井川慶、川上憲伸、上原浩治、松井稼頭央も厳しい立場に置かれている。
 「レギュラーの座を奪われた城島(健司)がマリナーズ退団を申し出た際、日本の球団、ファンは帰還を好意的に受け止めました。岩村、福留、井川らが一斉に日本球界に復帰してくる可能性も高いですよ」(前出・同)
 米メディアはゴジラ松井がノーヒットに終わる度に手厳しい論調を踊らせるが、それはある意味、“激励”なのかもしれない。岩村、福留は「今後の身の振り方」について考え始めたようだ。

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