去年の九州場所後、休場を繰り返していた稀勢の里に史上初の奮起を促す“激励”を決議した横審。このため稀勢の里はたちまち進退が極まり、初場所4日目、「私の相撲人生に一片の悔いもありません」という強がりともとれるセリフを残して引退した。
この涙の会見の後、横審には「余計なことをしてくれた」などという批判が殺到。予期せぬファンの反発に恐れをなした横審の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は、初場所後に開かれた委員会で釈明に追われた。
「(稀勢の里の引退は)非常に残念だがやむを得ない。ファンのためにけがしても、あれだけ頑張った立派な横綱だった。でも、自分で判断して引退したことだから」
すると今度は、返す刀で白鵬をバッサリ。初場所、初日から10連勝しながら3連敗すると、14日目にあっさり休場したことに不満タラタラだったのだ。
「前日までキチッと相撲を取り、とても大けがしたように外からは見えなかった。(委員会で)変じゃないか、という意見が出た」
確かに、最近の白鵬はけがが多く、去年の初場所からの7場所中、15日間フル出場したのはたった2場所だけで、優勝もわずか1回。そのけがも大事な下半身に集中しているため、稽古量も少なくなり、年齢的にも限界が近づいてきているのは明らかだ。
とはいえ、これまでの多大な貢献度を考えると、もう少し猶予も必要か。しかし、横審の中からは、こんな意見も飛び出した。
「個々の力士の医師ではなく、協会が決めた医師の判断、何日間休場が必要だとか、客観的なものがあったほうがいい」
“休み得は許さない”という姿勢はまことに結構ではあるが、白鵬まで引退に追い込んでしまえば大変なことになる。横審は大相撲を潰す気か。