この動きを見据え、今、カジノを地元に誘致したい自治体や企業の駆け引きが水面下で激しさを増している。一体どこが選定されることになるのか−−。
カジノは賭博罪に問われない“例外の賭博場”として存在することになる。
「賭博場が全国どの駅前にもあるような事態は、到底認められない」と警察庁幹部が言うように、まさに選ばれた特別な地域なのだ。
カジノ開業が決まったエリアが受ける経済的な恩恵は、とてつもなく大きい。“開業”といっても、駅前のパチンコホールが新装開店、グランドオープンするのとは訳が違う。
まず、カジノが入居する施設だけでも“複合観光施設”という名前が示すように、ホテルや大型会議場、ショッピングモール、映画館等のレジャー施設、飲食店街など巨大なものが建設される予定だ。加えて、その施設へ誘導するための交通インフラの整備が必要となる。道路新設・拡張工事は必ず発生するが、新しい鉄道を通す(もしくは駅を新設する)可能性もある。場所によっては、橋を架けたり、海底トンネルを掘る可能性もある。
さらには、外国人観光客を呼び込まなければならないため、既存の国際空港以外を最寄り空港とするのであれば、空港拡大・滑走路拡張工事が行われることもあり得る。
「われわれはカジノ施設の建設そのものよりも、周辺の交通インフラ整備関連の工事に関わりたい。かなりもうかると思う」(地場ゼネコン関係者)
工事には少なくとも2、3年はかかるといわれており、それだけ地元に大きなカネが落ちる。そして当然、カジノが開業した後は国内外からの観光客の増加が見込まれ、施設の周辺にも波及的に経済効果が表れるとみられる。雇用の面でも、「カジノ開業の条件として、施設のスタッフには地元住民を優先的に雇用するようなルールが作られる」(政府関係者)ため、雇用創出効果も相当だろう。
“アベノミクス”と騒がれていても、いまだ地方都市まで浸透していない現状からして、このカジノ誘致に対する期待はハンパではないのだ。