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まるでレクリエーション活動 阪神秋季キャンプがジャージ姿の若手選手だらけだったワケ

 まるで新人合同自主トレのような光景だった。阪神タイガース秋季キャンプ(高知県安芸市)で、なぜかユニホーム姿ではなくジャージ姿で練習をする若手が目立ったからだ。
 「チーフ兼打撃コーチ(二軍)から昇格した古屋英夫二軍監督のアイデアです」(在阪記者)

 古屋二軍監督は秋季キャンプ前夜に若手選手を集め、こう話したそうだ。「自分で自分を育てないとダメだ」−−。この言葉は意義深い。古屋二軍監督は現役時代に守備の名手として鳴らし、指導者としては日本ハムやオリックス、楽天を渡り歩いた。そんなベテラン指導者が他球団と比べ、トラの若手に欠けていると感じたもの…。それは自主性だという。
 「いまの二軍選手はマジメに練習しますが、コーチの指示待ちばかり。指示されないと、何もできないと映ったのでしょう」(同)

 和田阪神が2年連続して終盤戦で息切れした原因もこのあたりにありそうだ。自分で考え、何をすべきかが分かっていれば、試合主導権を相手チームに奪われることはない。古屋二軍監督はぬるま湯にドップリと浸かった、トラの体質を的確に言い当てているのだ。そして、そのチーム改革の象徴が、ジャージ姿での練習なのだという。
 「コーチの指導を仰ぎたい者はユニホーム、自分だけで練習したい者はジャージ姿で、と伝達され、秋季キャンプに突入しました」(球界関係者)

 練習開始からいきなりジャージ姿はダメ。全体練習を早めに切り上げ、その後の自主練習で、ユニホームかジャージ姿を選ぶ。大半の若手は“ジャージ君”になって、再びグラウンドに入ってきた。
 古屋二軍監督以下、コーチスタッフは「若手が自分たちで何を練習すべきか、考え始めた」とご満悦だったが、ジャージ姿でノックの列に加わる若手もいた。これでは、「何も教えてくれないでくれ」と言っているのも同じだ。単にコーチ陣の指導を拒否しただけではないか? 
 「自主練習が設けられたのは、この秋季キャンプから。いまの若手は自己主張がヘタクソなんです。自分から『教えてほしい』とも言えないし、自主練習の時間ができても何をやっていいのか分からないようです」(前出関係者)

 かたや、二軍コーチからは教えたくてウズウズしている雰囲気が…。
 「掛布雅之打撃コーディネーターの指導が好評だと伝えられていますが、最初は戸惑う選手もいました。チューブ状の棒で素振りをさせられ、その目的が分からない選手もいました。時間が経つにつれ、選手たちが理解できたんです」(プロ野球解説者)

 自主練習が設けられたため、全体練習の時間は短くなった。自主練習が充実するようならトラの未来は明るいが、初めて行った今年は試行錯誤だけで終わってしまった。古屋イズムも、浸透するまでもうしばらく時間がかかりそうだ。
 しかし、球団創設80周年を迎える来季、タイガースのペナントレース制覇は至上命令。とはいえ、チームが強くなるための即効薬はないことが証明されてしまった。

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