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赤ヘル版“ノムラの考え” 『普通』の反対は『察してくれ』

 “金満大型補強”の原巨人を追う広島東洋カープ。交流戦で最下位に陥る失速で主位の座を明け渡したが、セ・リーグ再開後は“勝利への凄まじい執念”を見せ続けている。勝ち越しを許したDeNA戦(7月14日)では延長十二回の“本当の最終回”の攻撃で、二死から同点に追い付く展開もあった。中でも、最も強い執念を見せているのは、野村謙二郎監督(47)かもしれない。
 「野村監督は大団円の決めゼリフを秘めているようですね」(球界関係者)

 16年ぶりのチームAクラス入りを果たした昨季、野村監督は「ケジメを付けたい」と退団を申し出ている。その際は松田元オーナーらが必死に慰留し、今日に至っている。
 「近年の広島指揮官のなかで、優勝をもっとも意識しているのが野村監督」(前出関係者)

 事実、就任会見では「優勝を狙います」と公言。5年目の今季もその熱意は全く変わっていない。
 「選手が取材などで『Aクラスを…』なんて言い方をすると、怒るんです。『優勝したい、ではなく、優勝する! だろ!?』とか言ったり」(同)

 こうも、語っていた。指揮官就任が決まった09年オフ、「優勝したら『普通のことをやったまでです』と言うつもりです」と−−。
 「野村監督は地元財界からも絶大な支持があり、解説者時代にも何度か講演会を開催しています。指揮官就任が決まった後の講演では『普通のことをやったまでです、と言うつもり』と何度か話しています。その決意はいまも変わっていません」(ベテラン記者)

 とはいえ、その勝利に対する執念は“普通”ではない。現役時代を知るプロ野球解説者がこう続ける。
 「野村監督は、現役時代は『叱られ役』でした。本人がミスをしたときはもちろん、たとえ自身が打っても、チームが負ければ怒られていました。でも、叱られても叱られても向かっていく野村監督の反骨心がチームを支えていました」

 今季、快勝のゲーム後も「(先発が)よく投げたけど、あの失点は…」など、必ず苦言を呈するのもその影響だろう。野村監督は“現役時代の自分”が出現すれば、必ず優勝できると見ているのだ。
 「(気持ちを)察してくれよ! 俺にも話したくないときがあるんだよ」

 7月13日の中日戦後、野村監督は荒れた口調でそう吐き捨てた。「察してくれ」も、このところよく使うフレーズだという。同日は4点リードを守れずに逆転負け。こうした不甲斐ない試合の後に口にするのだが、それは「普通のことが出来ていないから」。選手の油断が敗戦に繋がったわけだ。謙二郎語録では「普通」の反対が「察してくれ」になる。だとすれば、用意されたVスピーチの「普通のことをやったまで」は奥深い言葉である。

 不甲斐ない部下(選手)、その歯がゆさ…。そう置き換えると、世の中間管理職は、野村監督に「普通」を連呼させてやりたいと思っていそうだ。

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