その決済方法はいたってシンプル。アマゾンの通販アプリでQRコードを出し、店舗のタブレット端末で読み取り、決済が完了する。クレジットカード決済に対応していない中小・零細の店舗をターゲットに需要を掘り起こす構えだ。
「クレジットカードなどのキャッシュレスサービスの場合、手数料と売り上げの入金が1カ月先になり資金繰りが苦しくなる。だから導入しない店が多いのです」(大手信販会社)
アマゾンの戦略では、ニッポンペイが決済に必要なタブレット端末を店舗側に無料で配布し、今年12月末までにこのタブレットの導入を申し込めば、'20年12月末まで決済手数料を無料にするという。店舗側にとっては時間やコストの短縮となり、メリットが大きい。
「政府もキャッシュレス化の支援に乗り出し、事業者への補助金や小売店への税制優遇を検討しており、現在、NTTドコモやソフトバンク、LINE、楽天、ヤフーもスマホ決済事業を手掛けている。スマホ決済が広がれば、ネットと実店舗の購入履歴や志向、支払い能力の情報を一挙に集められるので、ユーザー獲得に必死です」(全国紙記者)
しかし、現段階では外国人観光客も使いやすい『アマゾンペイ』が優勢との見方が多い。
「日本では小売業の人手不足が深刻化している。ITやAIを駆使した無人・キャッシュレス店舗が急速に普及する可能性がある」(メガバンク関係者)
さらなる進化では、カード大手のジェーシービーが、手のひらの静脈で本人を識別する生体認証の実証実験を行っている。あと数年後には、買い物から交通機関まで“体の一部”で支払う生体決済が普及する時代が到来しそうだ。