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出光・シェル合併の破談浮上で石油元売り業界再編に暗雲

 規制緩和や原油価格の乱高下に翻弄され続けた石油元売り業界の再編が最終段階に突入している。昨年7月、出光興産と昭和シェル石油が経営統合の合意を発表。当時、関係者から「まさかこの2社が一緒になるとは…」と隔世の感が伝わった。ところがここにきて、そのシナリオに暗雲が漂い始めているのだ。

 出光創業家が合併反対のノロシを掲げて臨んだ6月28日の株主総会で、月岡隆社長の再任を求める議案への賛成率が過半数ぎりぎりの52.3%にとどまった。すなわち、創業家の他にも多くの株主が現経営陣にレッドカードを突き付けたのである。
 「背景は明らかです。出光は労働組合がなく“社員は一つの家族”を貫いてきた。一方、昭シェルは国際石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが筆頭株主。第2位にサウジアラビアの国策会社が名を連ねるなど、出光とは文化・風土が全く違う。出光が伝統的にイランと親密なのに対し、昭シェルがイランと敵対するサウジと親しいことも両社の溝を際立たせた。そこで創業家の出光昭介名誉会長が異を唱えたわけです」(経済記者)

 実は今、出光が昭シェルとの合併を白紙に戻し、新たにコスモエネルギーHDと合併交渉を開始するのではないか−−との噂が浮上している。
 「コスモといえば、経済産業省がコスモ石油など傘下の企業を解体して切り売りするか、政府系の国際石油開発帝石に吸収させる計画を練っていたほどのボロ会社。業界再編では蚊帳の外だったのです」(同)

 そんな矢先、創業家の反乱で出光=昭シェルの溝が決定的になった。経産省がこのチャンスを見逃すはずがない。
 「HD傘下のコスモ石油だけを出光と合併させる案らしい。名誉会長が受け入れるかどうかは、微妙なところですが」(出光OB)

 どちらにせよ、ドロ船との抱き合い心中では前途多難に変わりはなさそうだ。

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