地元でほんこんは、情報系トーク番組の常連。その一方で、これまでに、ちりとり鍋、焼肉、たこ焼き、おにぎりなど、多くの飲食店のプロデュースを手がけてきた。ところが、およそ11年前には副業詐欺に遭っていたという。
副業に手を出すようになったのは、後輩から「東京で飲食を手広くやっている社長」を紹介されてからだ。社長は、お好み焼き屋でのバイト経験があったほんこんに、お好み焼き屋のプロデュースを依頼した。06年、東京は銀座の一等地に『冨くら』を出店。のちに大阪にも出店して、最盛期には3店舗も構えた(現在は銀座店のみ)。
この頃、「僕、ほんこんさんの大ファンなんですよ」とすり寄ってきて、気前よくおごってくれた男性Aと出会った。社交的で信頼できたAを、新規でオープンした焼肉屋『ほんこん亭』の店長にした。
開店は、出会いからおよそ1年半後の08年6月。その月の売り上げは600万円、翌月は725万円という驚異的な数字を叩き出した。ほんこんの懐には2か月連続で、200万円が転がり込んだ。ところが……。
3か月目以降は、まさかの0円。A店長いわく、「今月は支払いが重なって、利益が出なかったんです」とのこと。その言葉を信じて翌月へ望みを託したが、またしても無収入。怪しく思い、自らが伝票や領収書を洗いざらい整理した。すると、驚愕の真実が次々と発覚した。
領収書には、取引していた精肉業者と違う会社が書かれていた。業者との取引は基本、実家が精肉業を営んでいる料理長に任せっぱなし。あわてて領収書に書かれている電話番号にかけると、別会社の人間が、「70万円の取引です」と告げた。だが、領収書に書かれていたのは「90万円」。なんと、料理長が自分のコネで別会社に発注して、差額の20万円を着服していたのだ。
店の経理担当で、料理長の妻に確認を取ろうとすると、「仕事に行ってます」と返ってきた。実は働いていなかったこともわかった。
そもそも同店は、A店長との共同経営で始めた。しかし、開店資金は全額ほんこん負担。A店長の月給は固定で35万円だったが、出社するごとにレジから1万円を抜き取っており、社員やバイトに給料が遅配。その説明を、「ほんこんさんが全部金をよこせ!と持って行った」としていたという。
つまり、ほんこんは、料理長、その妻、A店長の3人に騙されていたのだ。
結果、わずか4か月で閉店。弁護士を立て、内容証明を作って、裁判に持ち込もうとしたが、A店長は行方不明。いまだに連絡は途絶えたままだという。
ほんこんが巻き込まれたトリプル構造の副業詐欺。吉本興業は、営業だけではなく副業にも“闇”があったようだ。