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中国人“爆買い”終焉で、銀座の松坂屋跡地は「捕らぬ狸の皮算用」

 「去年までと違い、高額品も売れなくなりましたが、買い物自体をしない中国人旅行者も増えてきています」(デパート関係者)

 中国人旅行者の“爆買い”が失速し、デパートの免税売上高は急速に減少している。
 “爆買い”のシンボル、大手総合免税店の『ラオックス』が公表した'16年12月期第2四半期決算は、営業&経常利益がざっと90%減という衝撃の数字だった。

 その理由はハッキリしている。中国人の爆買いにブレーキがかかったからだ。
 「昨年、海外旅行に出掛けた中国人は延べ1億3500万人。うち日本へは、前年比207%増の499万人(外国人旅行者の4割)も訪れています。さらに日本での消費額で見ると、全外国人の5割近くを占めたという推計もあるほど。ただし、これは“真水”の数字ではなく、そのうち4割が代理購入。端的に言えば“個人仕入れ・個人転売”で、いわば税関をくぐり抜けて中国国内に流入する“密輸品”です。これが中国の国内消費に不況風を吹かせており、中国政府にとっては頭が痛い」(流通業界関係者)

 爆買いを当て込んで、同社は来年1月には東京・銀座の松坂屋跡地にエリア最大級の大規模複合施設がオープンする予定。もちろん東京五輪を見据えてのものだが、「捕らぬ狸の皮算用」以外の何者でもない。さらに追い打ちを掛けているのが中国の消費構造の変化だ。
 「中国政府は爆買いパワーを国内に取り込もうと躍起です。例えば、スキンケア用品や紙おむつなどの日用品の輸入関税を引き下げ、広東省などの自由貿易試験区での免税店の開設などの手を打ってきています。また、ネット通販のアリババの普及で、家電などの高額商品を買うために来日する必要もなくなっている。加えて中国は今年4月に税制を変え、個人輸入品に対する課税を大幅に引き上げています。人気の高級時計は30%から倍の60%に、酒は50%から60%に上げた結果、中国の“代購”業者が買わなくなったのです。日本での消費もすでに買い物から娯楽にシフトしているので、銀座の商業施設は厳しい状況が続くのは間違いありません」(同)

 中国は国内消費を活発化させるために爆買いを禁止したいが、一方で訪日ブームが“戦略カード”であることも十分に認識している。仮に東シナ海にひとたび波風が立てば、中国当局は旅行業社に圧力をかけ「渡航禁止令」を打ち出すし、「訪日旅行を復活させたければ条件をのめ」と日本政府を恫喝することもあり得る。
 日本にとっては「経済」、中国にとっては「されどカードを失いたくない」と、日中双方がジレンマに立たされているのだ。
 今後は中国だけでなく、欧米やアジアからの訪日客のニーズ対応することが必要になってくる。

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