建設会社で営業マンとして働いている松嶋健一郎(佐藤隆太)は、曲がった事が大嫌い。仕事ではお客の為に最善を尽くし、友達思いで、ぜんぜん知らない人にも優しい。でも肝心なところがわかってないという、鬱陶しいやつ。でもこれがドラマの肝で、タイトルこそ「まっすぐな男」と佐藤を持ち上げているけど、健一郎の“まっすぐな部分”はちっともカッコよくない。彼の方向違いのまっすぐさと、対照的に投入された怠惰なヒロイン・栗田鳴海(深田恭子)の巻き起こす騒動によって、バラバラだったパズルのピースが揃うように物語が展開していく、わりと高等テクニックをつかったドラマなの。
第4話のお話は、明るくしっかり者の町田佳乃(貫地谷しほり)の、家に新しく居候させてもらう事になった鳴海(深田恭子)は、佳乃のバイクを壊したり、猫を拾ってきたりやりたい放題。でも、ずっと自分を抑えて「いい子」を演じてきた佳乃は内に溜めるしか出来なかった。そして仲間うちで鍋を囲んでいた時、ささいな事が原因で佳乃の抑えていた健一郎(佐藤)への感情が、爆発してしまう。
自由奔放な鳴海の深キョン、いいわあ。こういう人いるのよね、ずうずうしくって人に迷惑をかけるんだけど破壊力があって、結局は周りの人の人生を好転させちゃう人。サッチーこと野村沙知代がこのタイプ。浅香光代とモメて、結果、ミッチーが若者に浸透したり、デブブス呼ばわりされた元フィギュア女王の渡部絵美が憤慨してダイエットしたり。なんかふに落ちないけど、嵐の後に何も無くなって部屋がキレイになったみたいな気分にさせてくれる人なのね。鳴海は。
年齢的に今の深キョンじゃないと出来ない役かもしれないし、大飯食らいで大酒飲みの私生活を想像してしまうぐらいピッタリと鳴海にはまっている彼女。ちゃんと、やさしい部分も残しているし、なにより見た目の迫力は他の女優の比じゃない。演技はそう上手くないけど何だかんだいってもキャリアが長いから安心して見られるのよ。この手のタイプの女優はいそうでいないからオカマにも大人気よ。
健一郎と出会って、濃かった化粧がだんだん薄くなり「素顔」に近づいていく鳴海。ますます彼女から目が離せないわね。(チャッピー)