NPB(日本野球機構)が『第8回BFA(アジア野球連盟)12U(12歳以下)アジア選手権』(8月27日〜)の指揮官に、仁志敏久氏(42)を選出した。その理由は「筑波大大学院で勉強しており、アマ側に好意的に受け止められている」とのこと。仁志氏がアマチュア球界から信頼されていることは間違いないが、それだけが理由では説得力に欠ける。
「仁志氏の12U監督就任と前後して、飛び込んできたのが秋山(幸二)監督の去就問題です。交流戦V逸に続き、ペナントレースも逃すようなことになれば、秋山監督を取り巻く環境は厳しくなります。オークスは昨年オフ、孫正義オーナーの大号令で30億円の大補強を行い、2年連続5度目の交流戦優勝、3年ぶりのリーグ優勝、日本一が至上命令でしたから」(ベテラン記者)
交流戦は巨人との直接対決に敗れてのV逸。秋山監督がいよいよ…となると、秋山監督の弟分であり、ミスターホークスこと小久保裕紀氏(42)がクローズアップされるだろう。
「常設される侍ジャパンの代表監督に小久保氏を推したのは、王貞治会長です。秋山監督の長期政権化もあり、引退して長く解説者をさせておくより、代表監督として勉強させた方がいい、と…」(球界関係者)
王貞治福岡ソフトバンクホークス取締役会長はNPBにも絶大な影響力を持っている。
その王会長の後ろ楯を得た小久保代表監督だが、侍ジャパンのコーチ人事で“ゴリ押し”したのは、守備走塁コーチの仁志氏だけ。2人は学校こそ違うが、大学時代から認め合うライバルで、今回の12U監督人事にも“王−小久保ライン”の影響があったことは想像に難くない。
「21歳以下の侍ジャパン21U代表監督は、阪神の平田勝男・二軍監督(54)に決まりました。テクニカルディレクターの鹿取義隆氏が平田二軍監督を推していました」(同)
鹿取氏と平田二軍監督は明治大学の先輩後輩の間柄。鹿取氏も巨人時代に王会長の訓示を受けた1人だが、『侍ジャパン21U』の投手コーチに豊田清・巨人二軍コーチ(43)も“推薦”したという。巨人から侍ジャパンへの人材派遣は選手を含め、豊田コーチが第一号となる。
「鹿取氏が西武に在籍していたころ、豊田コーチの努力を見ています。巨人からというより、西武ルートでの選出」(同)
小久保代表監督がホークスに帰還するとなれば、後任の最有力は“親友の仁志氏”だろう。今回の12U監督はその箔付けだとすれば、平田二軍監督も阪神の次期監督の最有力候補である。球界の人事は“学閥”と“人間関係”が強い影響をもたらすようだ。