「難しいところだけど、私の気持ちを察してください」(打撃好調のロサリオに二軍落ち告知。外国人枠の問題で、故障していた守護神ミコライオ昇格を決めた理由について。6月1日の対楽天戦試合後)
「(エラーは)やりたくてやっているわけじゃない。けれど、それが大量失点になるのが今の流れ」(21被安打16失点で大敗した6月7日の対ソフトバンク戦)
「打つべき人が打てば試合になる。ただ、これを勝ちにつなげないと…」(接戦の末に敗れた6月12日の対西武戦)
翌13日の同じく対西武戦では、好機で二塁封殺を食らい先制できなかった。野村監督はその微妙な判定に猛抗議しており、試合後はそのことを聞かれてもいないのに、こう言い放った。
「感情をぶつけて何かが変わる訳ではない。ただ、悔しさは忘れてはいけない」
選手に喝を入れる意味で「忘れるな」と言ったのか、それとも、塁審への怒りを忘れないとしているのかは定かではない。極め付きは5月23日のオリックス戦を落としたとき−−。
「僕は何とも思っていないけど、打線の雰囲気が暗い。ミスが失点に直結している。それを跳ね返せない」
「何とも思っていない」と言いつつも、攻守の両方にしっかりダメ出ししている。
また、故障で本調子ではないエース前田健太で勝った後も、苦言を呈している。
「さすがエースだと思った。悪いなりに、という内容だった。調子の波は誰にでもあるから。そこで要所を抑えるのはさすが」
褒めて、けなして、また褒めて…。一体、どっちなのか? ゲームの主導権を握るのがエースの役目。試合中、イライラ感を顔に出せずに我慢していた“上司の心境”がにじみ出ている。
「今の野球では首位ウンヌンと言っている場合じゃない。5年もこのチームを見ていると、逆境に弱いところがある。粘りというか、逆境に強くならないと…」(首位陥落となった6月8日の対オリックス戦)
首位をキープできなかった理由を冷静に分析していたのは、他ならぬケニーである。歴戦の強者だったからこそ、そう言えたのだ。
野村克也氏はボヤキとウンチク、岡田彰布氏は奇想天外ぶりがウケていた。ケニー語録は不甲斐ない部下への憤り。世のサラリーマンは、ちょっとグチっぽい同監督に共鳴しているのだ。
いにしえに倣えば、劉邦は負けながらも味方を増やし、最後の一戦で項羽に勝った。カープ女子とは違う“新たなファン層”を得たケニーが、交流戦5連勝で締めくくった勢いそのままに、セ・リーグのペナントレースを巻き返す!