マイコプラズマ肺炎は、小児を含む比較的若い人(10〜30代が中心)に多く見られる感染症だ。初期症状は咳と熱で、とくに“から咳”は特徴的な症状の一つとされる。
原因となるマイコプラズマは、私たちの周囲にいる普通の微生物で、感染力は決して強いわけではない。しかし、人によっては免疫力の高い若くて元気な人でも症状が出る場合がある。
治療法の基本は抗生物質の投与と安静で、1週間から10日程度で治る。ただ、中には風邪と間違えて放置した場合、重症化するケースもある。
マイコプラズマ患者の一人、斉藤欣一さん(38)は、咳から始まった。
「痰も出ないので“から咳”と思い、あまり心配していなかった」(斉藤さん)
ところが翌日の朝、高熱が出た。38度を超えていたため会社を休んで病院へ。
症状を担当医に話すと、ただちにX線撮影が行われ、画像を見ながら下された病名は“マイコプラズマ肺炎”だった。
斉藤さんは、そのまま入院。1日1回の抗生物質を投与され、後は安静の日々。退院まで1週間かかった。
「入院しないでいたら、家庭や勤務先の集団感染源になっていたかもしれません、と先生に言われた時はゾッとしました」(斉藤さん)
風邪を防ぎ、咳を鎮めるにはまず空気をきれいにすることだ。職場や家庭内に、多機能(加湿、除湿)の空気清浄機を使うのも一つの手かもしれない。
不幸にして咳に“取りつかれた”なら、咳を鎮める簡単な療法として入浴を勧める医療関係者もいる。
「ただし、熱がない場合のみです。入浴での加湿は痰を柔らかくするので出しやすくなるし、代謝をよくします」
咳を悪化させる食品もある。栄養管理士で料理研究家の佐藤康子さんは言う。
「食べて咳が出やすい物といえばコショウ、ワサビ、唐辛子などの香辛料で刺激性のあるものです。気道粘膜に刺激を与えるので、咳がひどい時は避けた方がいいでしょう。他にアレルギーに繋がるもち米(でん粉アミロースなど)、タケノコ、豚肉、ナス、エビ、カニなども咳を誘発するので避けたい。メロン、キウイなど生の果物やジュースも喘息のある人は避けた方がいいでしょう」
いずれにしても、2週間以上の咳の場合は、時として肺がんと関係することもある。また逆流性食道炎や副鼻腔炎、うっ血性心不全といった呼吸器以外の疾患の原因になるケースもある。
これらの可能性も考え、正確な診断のために専門医の受診は必要だ。