「卒業&解散」ラッシュだった2015年アイドル業界

アイドル 2015年12月27日 12時00分

「卒業&解散」ラッシュだった2015年アイドル業界

 300名を超す卒業や脱退、人気グループの活動停止など、文字通り、激動の1年間となったアイドル界。同時に、新グループの誕生や新ジャンルの開拓など、新たなうねりも生まれている。今一度、2015年を振り返り、来たるべき2016年のアイドル界を展望してみよう。

 毎年12月、京都・清水寺で発表される「今年の漢字」。アイドル界に限って表すならば、「卒」がふさわしいだろう。それほど、アイドル卒業のニュースが続く1年だった。年明け1月1日、2009年の結成時から中心メンバーとしてグループを支えてきたPASSPO☆の奥仲麻琴が卒業。その後も、ハロプロの新グループ「カントリー・ガールズ」の顔として期待された島村嬉唄が契約解除。Dorothy Little Happyから秋元瑠海、富永美杜、早坂香美の3名が卒業。AKB48の川栄李奈、チャオ ベッラ チンクエッティ(旧THEポッシボー)の秋山ゆりか、AKB48の倉持明日香、SKE48の松井玲奈、アンジュルムの福田花音ら、主要メンバーが次々にグループを離れた。12月31日には、モーニング娘。'15の鞘師里保の卒業が控え、AKB48の高城亜樹とSKE48(SNH48兼任)宮澤佐江、アンジュルムの田村芽実が卒業することも、すでに発表されている。これでも、ごくごく一部。「○○ロス」している暇もないほどに畳み掛けられ、気持ちの整理が追いつかないファンも多いようだ。 

 卒業したのは、メンバー個人だけではない。3月3日のBerryz工房、9月23日のしず風&絆、10月31日のアイドリング!!!など、グループ自体の活動停止も相次いだ。これほどまでに卒業や解散が重なると、アイドル界全体が外堀から解体されている印象すら受ける。グループの解散も含め、「散」の一文字がふさわしい? あるいは、より直截的な「終」だろうか。

 事実、「アイドルブームの終焉」という言葉は、たびたび見聞きする。「アイドル戦国時代」という言葉をはじめて用いたアンジュルムの福田花音(当時、スマイレージ)がグループ及びハロー!プロジェクトを卒業したことも、いかにも象徴的だ。

 狭義の「ブーム」という意味では、確かにそれは、すでに終わっているだろう。しかし、アイドルムーブメント全体が消失したというわけではない。一時的な「流行」から、「定番」「日常」へと“根付いた”と捉えるべきだ。とはいえ、現状を「安泰」と考えていいかと問われれば、まったくそんなことはない。激流のようなブームから、ゆるやかに流れる日常への移行は、「停滞」と見ることもできる。群雄割拠してしのぎを削った時代は終わり、48&46グループ、スターダスト、ハロプロという三大勢力へと収束。個人、グループ問わず、いたるところで容赦のない淘汰が進行。それが、膨大な数の卒業や解散として現れた1年だった。

 福田花音に倣うならば、三大勢力が突出する現在のアイドル界は、信長と秀吉が中央政権を握った安土桃山時代に例えることもできる。当然、安土桃山には、戦国から江戸への「過渡期」という見方もある。南蛮渡来の新しい文化を積極的に取り込んだのも、その頃だ。

 アイドル界においても、やはり同じような現象が起きている。メンバー個々の活動分野の拡大もそのひとつだ。2015年に顕著だったのは、ファッション誌でのモデル活動。2月、乃木坂46の齋藤飛鳥がCUTiEの専属モデルとなった(のちにCUTiE休刊にともないsweetへ転属)のを皮切りに、同じ乃木坂46の橋本奈々未と松村沙友理がCanCamモデルに、℃-uteの鈴木愛理がRayのレギュラーモデルとなった。

 これは、近年急増している女性ファンへのアプローチ強化であるのは間違いないが、アイドルカルチャーとは最も遠いところにあったファッション業界へ進出できるようになったのだから、古くからのアイドルファンにとっては隔世の感があるだろう。それだけ、アイドルという存在が広い層から受け入れられる時代になったということだ。

 グループレベルで見た場合には、「アイドルソングからの解放」「異ジャンルの取り込み」が進展している。要は、“アイドルにアイドルらしくない曲を歌わせる”というコンセプトだ。先陣を切り大きな成果を上げているのがBABYMETAL。1月、東京女子流が「アイドルフェスとアイドル専門誌には出演しない」と“脱アイドル宣言”をしたことも、同様の流れを感じさせるトピックスだった。

 EDM系アイドルの増加も目立つ。EDMを取り入れたアイドルといえば、モーニング娘。やアップアップガールズ(仮)が知られるところだが、より本格的・先鋭的にEDMを用いているのがSTEREO TOKYOだ。STEREO TOKYOが前者らと大きく異なるのは、EDMの雰囲気だけをアイドルソングに取り入れるのではなく、ゴリゴリのEDMカルチャーのなかにどっぷりと浸かった点。それによって、今までアイドルにまったく触れてこなかった層がアイドルイベントやフェスに足を運ぶようになってきている。同時に、STEREO TOKYOのステージによって、本格的なEDMの楽しみを覚えた“ドルヲタ”も多い。

 こうした流れを見るときに思い出すのが、Perfumeのブレイク期だ。広島の地方アイドルだったPerfumeは、中田ヤスタカとの出会いによってテクノポップ路線に転換。当初はアイドルソングを「ピコピコ」させた程度で、ファン層の大きな拡大も見られなかったが、メジャー3rdシングル「エレクトロ・ワールド」の頃から、より本格的なエレクトロサウンドへと傾倒し、クラブへ通うような“非ドルヲタ層”からの評価を得ていった。当時のPerfumeのライブフロアにも、異なるカルチャーを持つ客層が混沌としつつ同じ音楽を楽しむ空気があった。

 その後のPerfumeの成功は今さら語るまでもないが、興味深いのは、ブレイク後の彼女たちが、よりコアなフロアサウンドを指向しなかったことだ。プロデューサーの中田ヤスタカにしてみれば、自身のユニット「CAPSULE」のような楽曲を作ることは難しくなかったはず。しかし、カップリングやアルバム曲はともかく、シングル曲では「先鋭」よりも「中庸」に寄せていくことで、最大公約数のファンを獲得した。

 既存のフォーマット内では、大きな発展が望めなくなったアイドル界。他ジャンルをつまみ食いするだけでなく、本格的に指向することで新たなファンを引き寄せているSTEREO JAPANやBABYMETALが、2016年、どのような舵取りをするのか要注目だ。

 三大勢力のCD売上が少しずつ落ち込んでいるのを見ても、時代が変わる潮目がきているのは間違いない。ひと足早く、2016年のアイドル界を漢字で表すならば、「転換」「流転」「転変」の「転」の一字かもしれない。

【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第9回】

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