「必ず“一式”には目を光らせてほしいのです。何が含まれて何が含まれていないか、事前によく確認すること。決して『お任せします』などと言ってはいけません」と、寺尾氏はアドバイスする。
遺族は愛する人を失って悲しみに暮れているところに、慌ただしく葬儀を営まなければならない。じっくり検討する時間もないため冷静な判断ができず、葬儀社の言いなりになってしまうことが多いのだ。
一部の悪徳葬儀社は、そこに付け込む。『こんなに貧弱だと故人が悲しみますよ』と、巧みな営業トークで祭壇や花をより高価格に引き上げようとする。葬儀社にそう言われるとなかなか断わりにくい。
近年、葬儀社の見積書は項目別に単価が明記され、追加料金の内容もわかりやすく記載されるようになってきた。それでも相変わらず古い体質を引きずっていて、「葬儀費用一式」とどんぶり勘定の見積書が出される例も後を絶たない。
そんな“好ましからざる”業者を見分けるポイントを、寺尾氏が次のように教えてくれた。
《焦らせる、危機感を煽る葬儀社》
葬儀の獲得を急いでおり、いろいろな理由をつけて決断を迫る。特に専門用語を多用して遺族を混乱させる業者には注意。
《十分な相談の時間を取らず、見積もりを出さない葬儀社》
具体的な金額を提示せず、なおかつ説明があやふやなのは、費用や内容に何らかの後ろめたいところがあるからだ。
《「世間体」「人並み」を強調する葬儀社》
「それでは故人が悲しむのではないですか」などと、半ば脅すような口調で費用をつり上げる手口だ。つまり“怪しい言葉”には気をつけろということ。
「平均」や「標準」といった“もっともそうな”話に惑わされず、遺族の思いや故人の遺志に沿った葬儀の形とはどういうものなのかを冷静に考えること。そして会場、会葬者などを精査し、予算を見積もることが重要なのだ。