そんななか、4着だったシルポートの鞍上、川田騎手のレース運びも興味深かった。シルポートと言えば、何がなんでもハナに立つ馬でおなじみ。毎日王冠、天皇賞と大逃げを打ったためにシルポートは逃げ馬というよりは大逃げの馬というイメージが強くなっていたところだ。ならば、当然今回も…と思いきや、後続馬を大きく離さずタメ逃げに打って出た。意外かもしれないが、シルポートが結果を出ているときはタメ逃げの時であり、このパターンこそがシルポートの真骨頂である。
シルポートにとって京都は重賞2勝をしている相性の良いコース。そして、キャプテントゥーレでも逃げて勝ったこともある川田騎手となると、これは何かありそうだとは思ったが、まさかのタメ逃げ戦法。虚をつかれたのはファンだけではくジョッキーも同様だったのではないだろうか。久々の乗り替わりでありながら、この大一番で大方の予想を裏切り、最もシルポートらしいレース運びをした川田騎手の手腕と度胸が光ったレースだった。
最近はエリザベス女王杯では柴田善臣騎手、東スポ杯2歳Sでは横山典弘騎手が勝利するなどベテランジョッキーの調子も上向き。またこの時期は来日してくる外国人ジョッキーにも目がいきがちだが、そんな時だからこそ、若手の騎手に馬券を委ねてみるのも面白いかもしれない。
〈プロフィール〉近藤雄亮:キャリア3年目の若手放送作家。売れっ子作家ではないため安定した生活をするには競馬の成績がカギ。今年度のおこづかい馬券の成績は現時点で回収率145%、プラス収支をキープ。Twitterのアカウントは「@minoru1202」。