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LiLiCoオススメ「肉食シネマ」★これこそがアガサ・クリスティー!

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提供:週刊実話

 たまには昔懐かしい空気感もいいのでは? アガサ・クリスティーのミステリーで、新年度の忙しさから、ひと時でも逃げましょう!

 若くてハンサムな探偵チャールズのオフィスに、美しい女性のソフィアが押しかけてきます。彼女とは、かつて激しく愛し合った恋仲。ソフィアは、自分の祖父が殺され、しかも家には、まだ犯人がいるのではないかと疑っています。

 レストラン経営で大成功し、伝説の人物として有名だったソフィアの祖父、アリスティド・レオニデスを殺したのは誰か? 現場に行ってみると想像以上の大豪邸で、一癖も二癖もある家族が住んでいます。嫌味な父親、おしゃべりなおばさん、自信過剰の女、短気な男に、酒に溺れている女優、さらに、言うことを聞かず乳母を困らせるおませな女の子ジョセフィンは、大人ぶって「犯人はいつも意外な人ね」なんて探偵ごっこをしたりで、子どもらしさの一欠片もない。

 こうして登場人物を並べてみて思うのは、やっぱり、アガサ・クリスティーの作品って安心して見られるってこと。だって“普通”の人がいないんですもん。家族みんなが怪しく見える。しかも一族のトップが亡くなったのに、誰も悲しそうに見えない。お金目当てのニオイがプンプンします。

 こんな面々が大勢で同じ屋根の下に住んで成り立つのかと、気になったチャールズでしたが、その後、家族同士の不仲がどんどん暴かれます。豪華な生活をする人たち、時代設定、車、インテリアで私たちを優雅な気分にさせてくれる反面、ストレスで参ってしまう探偵のチャールズとのバランスが、とにかく面白い。

 訪問した1日が踏んだり蹴ったりのチャールズは、車も壊れてしまったことで、この家に泊まることに。夜のディナーテーブルの嫌な雰囲気はミステリーには不可欠。タイトルの「ねじれた家」ではなく、ねじれているのは人です!

 今回もグレン・クローズの演技が光ります。『天才作家の妻〜40年目の真実』で夫を守る妻を演じましたが、今回はどの角度から見ても怪しい! 並外れた存在感です。先を読もうとすると面白くなくなってしまうので、素直に物語を楽しんでほしい。

 犯人をニオわせる、ちょっとしたシーンもありますが、それが必ずしもヒントになるとは言えません。しかしラストを見たら、誰かと話し合いたくなるでしょう! “この立場に置かれたらどうする?”と。衝撃のラストは愛に満ちています。

画像提供元:(c)2017 Crooked House Productions Ltd.
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■アガサ・クリスティー ねじれた家
監督/ジル・パケ=ブレネール 出演/グレン・クローズ、テレンス・スタンプ、マックス・アイアンズ、ステファニー・マティーニ、ジリアン・アンダーソン、クリスティーナ・ヘンドリックス他 配給/KADOKAWA 4月19日(金)、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEM、シネマート新宿ほか全国ロードショー。
■巨万の富を築き上げた大富豪レオニデスが毒殺され、私立探偵のチャールズは、レオニデスの孫娘で元恋人のソフィアから捜査を依頼される。屋敷に到着すると、3世代にわたる一族が勢揃いし、巨額の遺産を巡って、嫉妬と憎しみをぶつけ合っていた。捜査を開始したチャールズは、一族全員に殺害の動機があることに気づく。そして、真相が見えたと確信した時、第2の殺人が…。
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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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